2016 Fiscal Year Research-status Report
不純物が結晶成長へ及ぼす効果-不純物が動くと何が変わるのか-
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16K05470
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
佐藤 正英 金沢大学, 総合メディア基盤センター, 教授 (20306533)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 良尚 徳島大学, 大学院理工学研究部, 准教授 (60325248)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 結晶成長 / ステップ / 不純物 / バンチング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,代表者の佐藤が理論およびシミュレーションによる研究を行い,分担者の鈴木が実験的な研究を行って,不純物による結晶成長過程への影響を調べる。今年度の実績は以下である。
理論的研究については,申請時には過去に開発したプログラムの改良をして,表面拡散を経て原子がステップに取り込まれる場合のステップの挙動を調べる予定であった。しかし,過去に開発したプログラムでは,非常に過飽和度が低い場合に,不純物の効果が正確に記述できてないプログラムであることが判明した。そのため,計画を変更して,次年度行う予定であった,非SOS条件のステップを用いたプログラムの開発を行った。そのうえで,まずは不純物も入射原子もいったん結晶表面に吸着すると,その後は気相への再蒸発がなく場合で,不純物が不動である場合について調べた。不純物と原子の入射頻度の比を一定に保ったまま過飽和度を変化させると,過飽和度が小さいときに不純物によるステップ束の形成(バンチング)が起きることが明らかになった。この結果については,学習院大学計算機センター研究会,低温研での研究集会,および平成28年度の物理学会年会で報告した。現在は論文としてまとめている。また,本課題とは直接には関係がないが,間接的にする論文として1件を発表した。
実験的には,ニワトリ卵白リゾチーム(HEWL) を用いて,溶液からの結晶成長時の不純物効果を実験的に調べた。特に,リゾチーム存在かでの結晶化させたグルコースイソメラーゼの結晶面上でのステップの前進速度について測定して,前進速度の変化が概形の変化を及ぼすことを明らかにした。この結果は,結晶成長国際会議(ICCGE18)および,学習院大学計算機センター研究会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は理論的アプローチと実験的アプローチからなっている。実験的な研究についてはほぼ計画通りに進んでいるが,理論的な部分ではやや遅れている。そのため,全体の進捗状況はやや遅れているとした。 遅れの原因は,計画段階で考えていたSOS模型の拡張では低過飽和度での不純物効果を十分に正確に調べることができないことが,プログラムの開発過程で分かったためである。そこで,次年度開発予定の非SOS模型についての開発を前倒しで行った。そのため,本年度は結晶表面上の不純物が(i)結晶表面で動かない場合,(ii) 結晶表面を拡散する場合,(iii) 環境相への離脱をする場合の3 つの場合について調べる予定であったが,(i)の場合しか調べることができなかった。しかし,新たな知見(現在非公開)も得られたため,この遅れは本研究における致命的な遅れでない。
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Strategy for Future Research Activity |
理論的な研究としては,計画で予定していた非SOS模型への拡張はすでに済んでいる。次年度は開発済みのプログラムを用いて,結晶表面上の不純物が結晶表面を拡散する場合と環境相への離脱をする場合について,シミュレーションを行う。特に,分配係数や結晶成長のステップ列の不安定性に,不純物の振る舞いがどのように影響するかに焦点を当てて調べる。 実験的な研究としては,成長条件下での不純物の結晶内への取り込みの割合(実効分配係数) を調べる。初年度に不純物の添加量や過飽和度によるステップ形態への影響を調べている。これを発展させ,実効分配係数が結晶表面の形態にどのように依存するのかを明らかにする。結晶表面での不純物取り込みのカイネティクスと,結晶表面の形態変化および結晶の完全性の関連を明らかにする。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が起きた主な理由は,学会の開催地の問題である。
本研究を申請した段階では,国内会議として物理学会と結晶成長国内会議の双方に代表者および分担者が,それぞれ大学院生とともに参加する予定であった。しかし,本年度の物理学会のうち秋季大会が代表者の所属している金沢大学で開催されたために,代表者の物理学会のための旅費が,大学院生の分も含めて必要なくなった。また,分担者も都合で物理学会に参加できなくなり,その旅費も必要なくなった。さらに,結晶成長国際会議が国内で開催されたため,結晶成長国内会議が開催されなくなった。そのために,これに係る旅費が全く必要なくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は,物理学会,結晶成長国内会議に,代表者と分担者の双方とも参加する予定である。また,代表者は,昨年度開発したプログラムで本格的なデータをとるために計算機を購入する。分担者は主に実験に使うための試料等の購入を行うとともに,データ保管用のハードディスクの購入を行う。
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Research Products
(5 results)