2018 Fiscal Year Annual Research Report
Experimental search for liquid-liquid critical point in hydrogen-bonding liquids
Project/Area Number |
16K05475
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
梶原 行夫 広島大学, 総合科学研究科, 助教 (20402654)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 液体液体相転移 / ゆらぎ / 非弾性X線散乱 / 超音波 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、耐圧500MPaの新規高圧容器を完成させた。この容器を用いて、圧力は常圧から350MPaまで、温度は-100℃から50℃までのの広い圧力温度領域に於いて、液体メタノールの非弾性X線散乱(IXS)測定をSPring-8のBL43LXUで行った。まだ暫定的な解析結果ではあるが、得られた動的構造因子S(Q)をモデル関数でフィットすることで、縦波音波の速度(THz帯の音速)を求めることが出来た。基本的に低温化/高圧化に伴い音速は上昇している。また求めた値は、これまでに報告されている超音波測定による音速の値(MHz帯の音速)よりも、全温度圧力領域においてはるかに(4割程度)大きな値であった。これら測定方法による大きな音速の相違は、両者の間の周波数帯(MHz-THz)に特徴的な緩和時間を持つ緩和現象が生じていることを示している。また今回の結果は、この緩和現象が広い温度圧力領域に渡って大きな強度を有していることを意味しており、今回初めて明らかになった事実である。今後詳細な解析を行うことで、緩和強度の温度圧力依存性を求めていきたい。 期間全体としては、申請時のメインの内容であった-100℃、500MPa級の低温高圧液体のIXS測定装置の開発と、メタノールへの適用はこれまでにクリアできた。メタノールにおける液体-液体相転移臨界点の存在については、今後より詳細な解析を進めることで議論を行いたい。またそれ以外に申請書に記載していた内容で、水-アルコール混合系やグリセロール系など、他の系のIXS測定までには至らなかった。ただ、液体液体相転移とガラス転移との関係については、想定外の進展が見られた。今後の研究でさらに推進したい。
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Research Products
(8 results)