2019 Fiscal Year Annual Research Report
High-performance computing of statistical physics of spin systems using GPU
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16K05480
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
岡部 豊 首都大学東京, 理学研究科, 客員教授 (60125515)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | モンテカルロ法 / 相転移 / BKT転移 / イジングモデル / ポッツモデル / クロックモデル / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度までの研究を継続すると共に、新しい問題に取り組み、成果を上げた。 大規模モンテカルロ法による2次元q状態クロックモデルのBKT転移の研究に取り組んだ。相互作用として、通常のコサイン型とVillain型の両方を系統的に扱ったが、Villain型は厳密な双対関係が成立するので、計算精度が確認でき、同時に、相互作用の詳細によらない普遍性を調べることができる。最近、q=5の相転移に関して、普遍性に疑問を呈する議論もなされ、論争となっていたが、大規模計算により、普遍性を確認することができた。さらに、転移温度を仮定しない有限サイズスケーリングの方法を提案し、スケーリングが成立すること、また、臨界指数を評価できることを示した。 近年、人工知能(AI)の研究が進み、応用技術としてだけでなく、基礎科学分野でも研究を変革するようなブレイクスルーを起こしつつある。相転移は、重要な研究分野であり、相分類の研究に機械学習を応用する試みがカナダの研究者により提案されたが、イジングモデルに限られていた。本研究では、方法を拡張、一般化して、広い範囲のスピンモデルを扱えるようにした。具体的に、スピン配置そのものではなく、相関の配置を取り扱うことにより、ポッツモデルのような多数の自由度のある系や、XYモデルのような連続自由度の系に、手書き文字の判定の機械学習の手法を応用した。通常の2次相転移だけでなく、トポロジカル相転移として知られるBKT転移の相分類も可能にした。BKT転移を示す6状態クロックモデルの訓練データを用いて、2次相転移を示す4状態クロックモデルのテストデータによる相分類を行い、2次相転移の臨界点とBKT転移の臨界線との関連を明らかにするなど、ユニークな研究結果も得た。スピン系の相転移研究の新しいパラダイムを提示して、量子系を含む広い範囲の相転移研究に発展させることが期待される。
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Remarks |
成果を報道発表 https://www.tmu.ac.jp/news/topics/22751.html 日経に掲載 https://www.nikkei.com/article/DGKKZO57005360Z10C20A3TJM000/ EurekAlert! 発表 https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-03/tmu-mlp032520.php
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Research Products
(4 results)