2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K05492
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鹿野 豊 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任准教授 (80634691)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 光物性 / 量子エレクトロニクス / トンネル効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は研究計画の見直しを行い、予定では最終年度に行う予定であった半導体微小共振器中の励起子・ポラリトン凝縮体に関する研究を前倒しで行った。ただし、現状のサンプルの開発状況および実験手法を考慮にいれると時間変化まで観測することは難しいと考えられるが、本物理系が量子トンネル効果を調べる上で至的な系であるということを確認するための研究を行った。ポラリトンには自発発光する特徴があるため、発光した光子と共振器中のポラリトン凝縮体の状態との関係を測定理論の枠組みの中で対応づけることが出来るという予想であった。しかし、励起子・ポラリトン凝縮体のコヒーレンスに関して強励起領域での現象を調べてみると、これまでには考えられなかった負の分散関係を得ることに成功した。未だ理論的には解明できていない部分もあるのだが、励起子・ポラリトンが原子や分子の凝縮体とは異なり、自発発光する性質を帯びているために、負の分散関係を得られたものであると定性的には理解出来る。だが、研究代表者が想定していたコヒーレンスに対する1対1関係を得ることは現段階では難しいそうであるということを確認した。
一方、量子トンネル効果を調べるためのツールとして研究代表者が予定してた弱測定の理論の整備も研究の進展があった。2つのシステム間における弱測定とエンタングルメントの関係を調べた。この理論的な結果から量子状態推定の方式に弱測定は測定のセットアップを減らす方向に寄与出来るという結論を得て、今後の研究課題として取り上げることが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は異動もあり、研究計画を見直した部分はあるものの、概ね順調に研究計画は推移している。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度、再び異動となり、研究環境のセットアップに再度時間をとられてしまうことにはなるが、これまでの研究成果の蓄積を基に、今後は論文としてのアウトプットをとる時間を増やすのが良いと思われる。また、表題の量子トンネル効果についての研究進展も見受けられるが、成果のとりまとめに関して、相当の時間を要することが予想される。今後、研究環境の変化等を踏まえた上で成果を最終的には取りこぼしのないように纏めていきたい。
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Causes of Carryover |
計画的執行を心がけたが、最終的な金額の調整のために少額の繰越金が生じたため。使用計画としては、次年度の旅費に使用する予定である。
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