2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K05504
|
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
二国 徹郎 東京理科大学, 理学部第一部物理学科, 教授 (50360160)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | Fermi超流動気体 / Higgsモード / 集団励起 / Bose凝縮体 / Bogoliubov-de Genne方程式 / 量子渦格子 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. BCS-BECクロスオーバー領域におけるFermi原子超流動気体のHiggs mode(秩序変数の振幅が振動する集団モード)を理論的に調べた。トラップ系、一様系の両方において、BCS-BECクロスオーバー全領域におけるHiggsモード振動数と減衰の振る舞いをBogoliubov-de Gennes方程式の数値シミュレーションより明らかにした.一様系においては、線形応答理論による解析計算の結果と数値シミュレーション結果の比較を行い、結果の妥当性を確認した。 2. 正常相(非超流動状態)におけるFermi混合気体Boltzmann方程式を用いて解析し、二成分間の粒子数インバランスや質量インバランスが集団励起に及ぼす影響を明らかにした。さらに、この計算手法をBose-Fermi混合気体の場合に拡張し、系の統計性の違いが集団励起に及ぼす影響を明らかにした。 3. Bose凝縮気体において、熱的に励起された非凝縮気体の動的効果を取り入れた理論研究を行った。まず、Zaremba-Nikuni-Griffin方程式を用いて蒸発冷却をシミュレートする手法を開発した。次に、この手法を、非凝縮体が回転している場合に適用し、蒸発冷却に伴って量子渦格子が自発的に形成されることを確認した。 4. 近年,機械学習を用いた量子多体系へのアプローチが注目されている。本研究では冷却原子系の理論研究への機械学習の応用を目指し、Boltzmann機械学習の高速アルゴリズムの開発を行い、その有効性を検証した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記で述べたように、4つの研究課題についてそれぞれ研究成果を得ている。いずれの研究成果についても日本物理学会や国際会議等で発表し、研究課題1、2の結果の一部は論文として欧文誌(査読あり)研究4の結果の一部は日本語論文誌(査読なし)に出版した。残りの研究成果についても全て、現在欧文誌(査読あり)への投稿論文執筆中でる。 以上より研究はおおむね順調に進展していると自己評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
1. BCS-BECクロスオーバー領域におけるFermi原子超流動気体のHiggs mode(秩序変数の振幅が振動する集団モード)を理論解析をさらに発展させて、実験的にHiggsモードを観測するために最適なパラメータを導く。 2. Bose-Fermi混合気体の集団励起の計算をトラップ系に拡張し、トラップ系に特有な固有振動(dipole mode, monopole mode, quadrupole mode)を解析する。特に、温度や密度の変化に伴う衝突領域から無衝突領域へのクロスオーバーに注目する。 3 . Zaremba-Nikuni-Griffin方程式を用いた有限温度Bose凝縮気体のシミュレーションにより、有限の超流動流が存在する場合における超流動状態の動的安定性の解析を行う。 4. 光格子中の冷却原子気体の量子相の研究を行う。原子間に長距離相互作用が働く場合には基底状態として超流動秩序変数が空間変調する、いわゆる超固体状態が出現することが理論的に提唱されている。本研究では超固体状態における有限温度効果を調べ、有限温度における相図を計算する。また、昨年度開発した機械学習の手法の光学格子系への応用を行う。さらに、量子情報への応用を目指して、光格子系を用いた量子ウォークを用いた空間探索や、量子アニーリングの実現にむけた理論を提案する。
|
Causes of Carryover |
数値計算用の計算機と国際会議旅費を合わせた支出が当初想定していた額よりも高額になってしまっていたため、残りを国内学会旅費等に使用するには中途半端な額となってしまった。少額の消耗品を購入するよりは次年度の助成金と合わせた方が有効に使用できると判断し、次年度の使用とした。
|
Research Products
(10 results)