2018 Fiscal Year Research-status Report
レーザー時間・空間位相制御による超高強度加速電場の時間・空間強度の制御
Project/Area Number |
16K05506
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Research Institution | National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology |
Principal Investigator |
西内 満美子 (高井満美子) 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 関西光科学研究所 光量子科学研究部, 上席研究員(定常) (70391315)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榊 泰直 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 関西光科学研究所 光量子科学研究部, 上席研究員(定常) (00354746)
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Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2020-03-31
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Keywords | 超高強度レーザー / 時間位相 / レーザー駆動イオン加速 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、今まで制御することが難しかった超高強度レーザーと薄膜との相互作用において重要な役割を果たす、超高強度電場の生成を時間・空間的に積極的に制御を試みることが目的である。2017年度に取得されたJ-KARENレーザーシステムと銀の薄膜との相互作用の結果を、ハイドロシミュレーションとParticle In Cellシミュレーションによるハイブリッドシミュレーションを行い、レーザーの、特に時間波形の及ぼす加速電場への影響の結果を論文投稿し、現在査読中である。さらに、本年度は、超高強度レーザーシステムと薄膜との相互作用を決定する、メインパルス近傍10psにおける時間波形を成形し、薄膜との相互作用を試みた。QST関西研にあるJ-KARENレーザーシステムを使用し、ステンレスターゲット5ミクロン上に5x1021Wcm-2で45度の角度から集光し、ターゲットの裏面方向に加速される陽子、炭素、酸素のそれぞれの価数のイオンのエネルギースペクトルをトムソンパラボラにて計測した。その結果、時間位相の3次分散を変化させることで加速される炭素の価数、及びエネルギーが如実に変化することが分かった。 現在、変化させた時間波形によって、形成された加速電場がどのように変化し、計測データを説明できるのかをデータ解析、及びシミュレーションから検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度において、昨年度の実績報告時には執筆中だった、2017年度に取得されたデータを基にしたレーザー時間波形と加速されるイオンの結果の論文の投稿を行い、現在査読中の状態にまでこぎつけたこと。 さらに、2018年度には、上記のように積極的に時間波形を成形することで、加速されたイオンの価数毎のスペクトルの違いが如実に表れたデータの取得に成功し、現在詳細について解析を進めているが、これらのデータは超高強度レーザーを用いたイオン加速実験において、医療応用などの魅力的な応用先があるにもかかわらず、未だにそれに必要な陽子線、および炭素線の最高エネルギーが到達できない理由を示している。すなわち、超高強度レーザーのパルスの立ち上がり成分が既に加速電場を形成し、それらによってメインパルスがターゲット上に加速電場を生成する前に、陽子線や炭素線が加速されてしまって、ターゲットから離れてしまい、陽子線や炭素線の効率的な加速が行われていないために、陽子線や炭素線の加速エネルギーが延びない、という重要な実験的事実と知見をもたらした。 このような知見は、超高強度レーザー業界においてはほぼ知られていないことであり、ピーク強度さえあげれば加速イオンのエネルギーが延びると考えられているため、波及効果は非常に大きい。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度に取得したデータによる論文を通すこと、さらに、2018年度に取得したデータの解析を進め、効率の良い加速を行うために必要な時間波形を明らかにすることを行う予定である。ターゲットの種類によって、最適な時間波形は変化することが期待されるため、ターゲットの厚みの依存性、かつターゲットの原子番号依存性について、実験的なデータを取得し、それらを包括的に説明するモデルを構築する予定である。
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Causes of Carryover |
今年度、非常に有意義なデータが取得できたため、その解析を引き続き来年度行うため。
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Research Products
(17 results)
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[Journal Article] High resolution X-ray spectra of stainless steel foils irradiated by femtosecond laser pulses with ultra-relativistic intensities2018
Author(s)
M. A. Alkhimova, A. Ya. Faenov, I. Yu. Skobelev, T. A. Pikuz, 西内 満美子, 榊 泰直, ピロジコフ アレキサンダー, 匂坂 明人, ドーバー ニコラス ピーター, 近藤 康太郎, 小倉 浩一, 福田 祐仁, 桐山 博光, 西谷 勁太, 宮原 巧, 渡辺 幸信, S. A. Pikuz, 神門 正城, 兒玉 了祐, 近藤 公伯
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Journal Title
Optics Express
Volume: 25
Pages: 29501 --29511
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] High-contrast high-intensity repetitive petawatt laser2018
Author(s)
桐山 博光, ピロジコフ アレキサンダー, 西内 満美子, 福田 祐仁, 小倉 浩一, 匂坂 明人, 宮坂 泰弘, 森 道昭, 榊 泰直, ドーバー ニコラス ピーター, 近藤 康太郎, コーガ ジェームズ, エシロケポフ ティムル, 神門 正城, 近藤 公伯
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Journal Title
Optics Letters
Volume: 43
Pages: 2595-2598
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Presentation] Extreme plasma as an ion source produced by high intensity laser pulses interaction with solid density targets2019
Author(s)
西内 満美子, 榊 泰直, 桐山 博光, ドーバー ニコラス ピーター, コーガ ジェームズ, 近藤 康太郎, 渡辺 幸信, 神門 正城, 近藤 公伯, 畑 昌育, 岩田 夏弥, 千徳 靖彦
Organizer
54th ASRC International Workshop Sakura-2019 "Nuclear Fission and Structure of Exotic Nuclei "
Int'l Joint Research / Invited
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[Presentation] Experimental investigation of sheath-driven proton beam parameters in the ultra-short pulse, ultra-high intensity regime2019
Author(s)
ドーバー ニコラス ピーター, Mamiko Nishiuchi, James Kevin Koga, Hironao Sakaki, Kotaro Kondo, Hiromitsu Kiriyama, Koichi Ogura, Alexander Pirozhkov, Akito Sagisaka, Masaki Kando, Kiminori Kondo
Organizer
第74回日本物理学会年次大会
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[Presentation] レーザー駆動イオン加速実験における CW レーザーによる標的表面の洗浄効果2019
Author(s)
近藤 康太郎, 西内 満美子, 榊 泰直, ドーバー ニコラス ピーター, ロウ ヘーゼル フランシス, 宮原 巧, 渡辺 幸信, ティグラー ティム, ツアイル カール, シュラム ウーリ, ディータ エマ, ヒッグス ジョージ, エッティンガー オリバー, ナジュムディン ゾフカ, 桐山 博光, 神門 正城, 近藤 公伯
Organizer
日本物理学会 第74回年次大会
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[Presentation] 輝尽性蛍光体検出器によるレーザー駆動イオン弁別手法の精度向上2019
Author(s)
榊 泰直, 榊, 宮原 巧, 塩川 桂一郎, 岩田 佳之, 近藤 康太郎, 真鍋 征也, 渡辺 幸信, 西内 満美子, ドーバー ニコラス ピーター, ロウ ヘーゼル フランシス, 神門 正城, 近藤 公伯
Organizer
第74回 日本物理学会年会
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[Presentation] 超高強度・高コントラストPW級レーザーJ-KAREN-Pシステムによる重イオン加速メカニズム2019
Author(s)
西内 満美子, 榊 泰直, 桐山 博光, ドーバー ニコラス ピーター, コーガ ジェームズ, 近藤 康太郎, 渡辺 幸信, 神門 正城, 近藤 公伯, 畑 昌育, 岩田 夏弥, 千徳 靖彦, HazelFrances Lowe, Akira Kon, Tim Ziegler, Karl Zeil, Ulrich Schramm, Emma Ditter, Geroge Hicks, Oliver Ettlinger, Z. Njumudin
Organizer
第74回 日本物理学会年会
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[Presentation] Measurement of the sheath field strength by the charge state of heavy ions as a probe2018
Author(s)
西内 満美子, ドーバー ニコラス ピーター, 榊 泰直, 近藤 康太郎, 桐山 博光, 渡辺 幸信, コーガ ジェームズ, 神門 正城, 近藤 公伯, 畑 昌育, 岩田なつみ, 千徳 靖彦
Organizer
OPIC2018(HEDS)
Int'l Joint Research / Invited
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[Presentation] Ion acceleration experiments with high contrast high intensity laser system “J-KAREN-P” -- Extremely strong quasi-static electric field---2018
Author(s)
西内 満美子, 榊 泰直, 桐山 博光, ドーバー ニコラス ピーター, コーガ ジェームズ, 近藤 康太郎, 渡辺 幸信, 神門 正城, 近藤 公伯, 畑 昌育, 岩田 夏弥, 千徳 靖彦
Organizer
AAPPS-DPP
Int'l Joint Research / Invited
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[Presentation] Laser Driven Ion Acceleration Research for the Heavy Ion Accelerator Development2018
Author(s)
西内 満美子, 榊 泰直, 桐山 博光, ドーバー ニコラス ピーター, コーガ ジェームズ, 近藤 康太郎, 渡辺 幸信, 神門 正城, 近藤 公伯, 畑 昌育, 岩田 夏弥, 千徳 靖彦
Organizer
第2回QST国際シンポジウム
Int'l Joint Research / Invited
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[Presentation] Experimental investigation of electron heating and proton acceleration scaling to ultra-high intensity pulses2018
Author(s)
ドーバー ニコラス ピーター, James Kevin Koga, Mamiko Nishiuchi, Hironao Sakaki, Kotaro Kondo, Yuuji Fukuda, Hiromitsu Kiriyama, Takumi Miyahara, Keita Nishitani, Koichi Ogura, Alexander Pirozhkov, Akito Sagisaka, Masaki Kando, Kiminori Kondo
Organizer
OPIC HEDS 2018
Int'l Joint Research
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[Presentation] Measurement of the sheath field strength by the charge state of heavy ions as a probe2018
Author(s)
西内 満美子, 榊 泰直, ドーバー ニコラス ピーター, 近藤 康太郎, 桐山 博光, コーガ ジェームズ, 神門 正城, 近藤 公伯, 畑 昌育, 岩田 なつみ, 千徳 靖彦
Organizer
Nuclear Photonics 2018
Int'l Joint Research