2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K05512
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
吉森 明 新潟大学, 自然科学系, 教授 (90260588)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋山 良 九州大学, 理学研究院, 准教授 (60363347)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | slip長のミクロな表現 |
Outline of Annual Research Achievements |
速度を持った液体中に巨視的な物体 (溶質) を沈めると、流体から溶質は力を受ける。この 力は Stokes 則により計算されるが、溶質の表面における流体の境界条件に依存する。マクロな立 場では境界条件は仮定だが、ミクロな立場からは、力は溶質と流体粒子の相互作用により決まる ので、境界条件も一意的に導けると考えられる。本年度の実績は、Stokes 則の境界条件を、原子分子を あらわに考えるミクロな力学から基礎付ける方法を開発し、ミクロな表現を導いたことにある。これまで、溶 質と流体粒子のミクロな相互作用について、溶質の表面に沿った方向の力を考える場合と考えな い場合にミクロな表式を導いたが、新たに溶質が複数の粒子からなる場合の表式を明らかにした。 溶質は互いに相互作用する n 個の粒子からなり、流体粒子とも相互作用をしている。それ らの粒子は外場によって原点付近に束縛されているが、外場のポテンシャルは球対称なので、流 れを考えると系全体は軸対称になる。溶質全体の大きさを R とし、R と液体粒子の大きさの比の 極限を取る。ただし、接線方向に働く力は、この比の 1/2 乗に比例させて小さくなると仮定する。 ミクロな力学として、粒子間の相互作用をあらわに考える正準方程式を考える。 その方程式系を密度場と運動量場の時間変化を表す式に書き換え、佐々の方法に従い、非平衡分 布で平均を取る。さらに、定常状態を考え、速度についての線型化を行った方程式系について、特 異摂動法を使い、溶質の直ぐ近傍と充分離れた遠方とに全空間を 2 つに分けて極限を取った。 その結果、slipとstickを含む境界条件が得られ、そのパラメータ(slip長)が溶質に働く接線方向の力の時間相関関数で表されることが分かった。 また、コロイド分散系にプローブ粒子を入れ、コロイドを流した系で溶媒を考慮した理論的な手法を開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、溶質が球対称の場合を考えることになっていたが、実際、内部自由度のある場合まで進むことが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
研究をより精密化するために、発表を精力的に行い、様々な人と議論を重ね、不足している部分、問題点を把握する。その中で、今仮定している人為的な部分を取り除く方法を考える。 コロイド分散系についても、議論を重ね、問題点を把握する。プローブ粒子と溶媒の相互作用を一部取り入れる方法を考える。
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Causes of Carryover |
数回の出張(研究打ち合わせ)を別の用務で出張する時に行ったため、僅かに残った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
コロイド分散系の計算の整理が必要と考えられ、謝金を払って整理してもらう費用の一部にあてる。
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Research Products
(4 results)