2021 Fiscal Year Research-status Report
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16K05523
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
野瀬 真規子 (野々村真規子) 日本大学, 生産工学部, 准教授 (20333320)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 細胞運動 / 細胞集団 / 形態形成 / フェーズフィールドモデル / 細胞分裂 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の計測技術の飛躍的進歩により、細胞内や細胞膜上の分子の空間分布の時系列データが得られるようになってきている。それらの実験データを繋ぎ合わせて体系的に理解するためには、数理的研究が非常に有効である。また、細胞集団内での個別細胞の運動特性を知ることは、医学的にも工学的にも非常に重要で、癌の転移や創傷治癒などの解明につながる可能性がある。本研究では、形態形成や細胞運動など細胞集団的挙動に対して、連携研究者から提供された実験データの画像解析と数理モデルを用いた数値計算という2つの方法での解明を試みている。 昨年度に引き続き、細胞集団の運動に着目し、位相差顕微鏡画像に対する手動解析と機械学習による自動解析を中心に今年度の研究を進めた。昨年度は、基板を細胞が覆いつくしたコンフルエント状態の細胞集団の画像を用いたが、今年度は円形領域に閉じ込められた細胞集団の画像を用い、円形領域で回転する細胞集団の運動に着目した点が新しい。 画像解析については、細胞の輪郭抽出を手動で行った場合と、機械学習で自動で行った場合で、得られた細胞の速度や向きなどを比較し、機械学習の精度を検証するとともに、機械学習のパラメータの最適化を行なった。 数値計算では、円形領域に閉じ込められた細胞集団の運動だけでなく、閉じ込める領域の形状を変え、領域の形状による細胞の動きの特徴に着目した研究を進めた。これらの数理計算で得られた結果を踏まえ、次年度は円形以外のいくつか領域での細胞集団運動の実験を提案し、その結果を数値計算と比較することで、数理モデルの改良も検討したいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
昨年度はCovid-19の影響で予定していた実験を行うことができず、研究を進める手段を探る一年になった。今年度もCovid-19の影響が残っており、昨年度の遅れの全てを取り戻すことはできなかったが、機械学習の精度を高めたことにより、課題を発見することができた。その課題に対する解決の方向も決まっている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで機械学習やレベルセットなどで細胞集団の個別細胞の運動を追跡した。今後は機械学習での追跡で見つかった課題を、他の手法と組み合わせることで解決し、細胞の形状や運動性の観点から、細胞の個性を定量化することを目指す。 また、今年度行った細胞集団運動の数値計算で得られた知見をもとに、いくつかの実験条件を提案し、その実験結果と比較し数理モデルの改良も行う予定である。
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Causes of Carryover |
Covid-19の影響で新しい実験を行うことができなかった。そのため実験消耗品や実験補助者の人件費の支出が0となった。できなかった実験を次年度に行う予定である。
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