2016 Fiscal Year Research-status Report
2段式ダイヤモンドアンビル装置によるテラパスカル超高圧実験技術の開発
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16K05530
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
八木 健彦 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任研究員 (20126189)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 超高圧 / 実験技術 / ダイヤモンドアンビル / 放射光実験 / 2段式アンビル |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、さまざまな形状のマイクロアンビルを愛媛大地球深部ダイナミクス研究センター(GRC)の収束イオンビーム加工機を用いて作製し、SPring-8の高輝度X線ビームを用いて発生圧力を測定しながら高圧発生実験を繰り返した。SPring-8での実験は5月から11月にかけて4回行い、試料室中心部の圧力だけでなく、試料室内の圧力分布や1段目アンビルにおける圧力分布なども測定しながら、試料室中心部では300GPaを越す超高圧力の発生を確認することができた。それと同時に、レニウムをマーカーとして決めた圧力スケールの問題点や、大きな圧力分布が存在する場合のX線測定法に関する種々の問題点が明らかになり、それらを考慮しながらさらに研究を進めている。また、8月にはマイクロアンビルの素材として用いたナノ多結晶ダイヤモンドの作成法、評価法に関して、協力して研究を進めているGRCの入舩、大藤、國本の各氏と境、八木の5名が松山のGRCに集まり、検討会を行った。その結果、より硬いナノ多結晶ダイヤモンドを合成するために、合成温度圧力や、出発素材に関してさらなる改良を加えることが決まった。また9月にドイツのバイロイトで開催されたヨーロッパ高圧力会議の「2段式アンビルによる超高圧発生」に関する特別セッションに招待され、我々の実験結果について報告すると共に、他グループとの研究討論を行い、他グループでの実験技術や研究の進捗状況に関して情報交換を行うと共に、今後の研究の進め方に関する知見も得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は実験技術的に従来の超高圧実験とは全く異なる要素が多く、さまざまな新しい問題への対応が必要となることが当初から予想されていた。何回かの実験を繰り返す中で、そのような問題点が明らかになると共に、300GPa以上の発生も確認できたので、初年度としては当初の予定通りの進捗具合があったと判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に明らかにされた問題点を克服し、さまざまな議論を通して得られた知見を生かしながらさらなる超高圧発生技術を確立すべく、マイクロアンビルの形状の改良だけではなく、素材となるナノ多結晶ダイヤモンド製造方法の改良や、より細く裾がシャープに切れたマイクロX線ビーム生成技術の向上、などを組み合わせて、実験を繰り返して行く予定である。
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Causes of Carryover |
物品費として想定していたマイクロアンビルの製作およびマイクロコリメータの製作で、共同研究を進めている愛媛大グループやSPring-8ビームラインの維持費でまかなえる部分が予想より大幅に増えたため、本科研費で支出する分が減り、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験結果に基づきさらなる改良を進めるための装置改造費を予定しているが、それでも余裕ができた場合、本年度5年ぶりに開催されることになったHigh Pressure Mineral Physics Seminor に招待されているので、その参加旅費等にも充当する予定である。
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Research Products
(5 results)