2018 Fiscal Year Research-status Report
2段式ダイヤモンドアンビル装置によるテラパスカル超高圧実験技術の開発
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16K05530
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
八木 健彦 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 客員共同研究員 (20126189)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 超高圧 / 実験技術 / ダイヤモンドアンビル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は現在静的な超高圧実験で最も圧力範囲が広いダイヤモンドアンビル装置の試料室中に、集束イオンビーム加工装置を利用して製作したミクロンサイズのナノ多結晶ダイヤモンド製アンビルを装着して2段式加圧にすることにより、従来の高圧実験の限界となっている400GPa以上の超高圧力を発生する、新しい実験技術を開発しようとするものである。 H18年度はそれまでの実験結果を踏まえて改良を加えたマイクロアンビルをいくつか製作し、それらをSPring-8に持ち込んでミクロンサイズに絞った細いX線ビームを照射し、発生圧力を測定しながら加圧実験を繰り返した。4回のマシンタイムで様々な試みを行ったものの、残念ながらまだ400GPa以上の発生には成功していない。しかし、マイクロアンビルを製作したナノ多結晶ダイヤモンドの性質を始め、超高圧下におけるアンビル変形の問題や、試料空間内における圧力分布など技術的問題に関する様々な新しい知見を得ることができたので、それらに関する実験データの詳細な解析を進めるとともに、それらの結果をまとめた論文を現在執筆中である。また、米国カーネギー研究所で開かれたワークショップとロシアで開かれた研究会、愛媛大地球深部ダイナミクスセンターで開かれた高圧科学のシンポジウムに参加してキーノートレクチャーや講演を行ったほか、秋に岡山で開かれた高圧討論会にも参加して、同じような超高圧実験技術の開発を進めている研究者たちと議論を重ねた。それらで得られた情報を総合してさらに改良を加えた新しいマイクロアンビルを設計し、それを用いた新しい実験の準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究計画は元々3年間を想定して立てられたが、最終年度に実験を行うつもりで設計製作を進めていた2段目となるマイクロアンビルの製作が技術的困難から予定より大幅に遅れ、最終年度内にそれを用いた実験を行うことができなかった。製作そのものは多少の設計変更により何とかできたので、研究期間を1年間延長して予定した実験を行うべく、現在種々の関連した準備を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に設計製作を始めた新しいマイクロアンビルがほぼ完成しつつあるので、それを1段目のダイヤモンドアンビルに装着し、超高圧発生部となる先端キュレット形状の加工を集束イオンビーム加工装置で行い、SPring-8に持ち込んで最終テストを行う予定である。また今までの各実験の詳細をまとめた論文の執筆と、世界におけるこの分野での最近の研究を概観したレビュー論文の執筆も依頼され、それらの準備も進めている。
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Causes of Carryover |
実験に用いるマイクロアンビルを設計製作したが、技術的困難から製作が難しく、設計変更をして製作したため年度内に完成せず、延長した最終年度内に製作を完了させ実験を行うことにしたため。
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