2017 Fiscal Year Research-status Report
火星磁気異常の高分解能マッピングに基づく火星進化の研究
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16K05534
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
綱川 秀夫 東京工業大学, 理学院, 教授 (40163852)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 火星磁気異常 / 火星地形 / 火星地殻 / 磁鉄鉱 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の主な実績として、次の2点があげられる。いずれも、火星磁気異常解明の研究にとって重要な基礎研究である。 (1)表面地形に応じた磁気異常マッピング法の開発 火星磁気異常の起源は火星地殻にあると考えられ、本研究では火星上部地殻に磁化物質があると推測している。火星表面の地形は数千メートルの起伏があり、結果として、磁気異常分布には地形の影響が少なからずあると思われる。これまでのSVM(Surface Vector Mapping)法では、天体中心から等距離の球面上において磁気異常をマッピングしていたが、今年度研究の結果として、地形の影響をより直接的に評価できるマッピング法を開発した。新方法の有効性のチェックとして、地球上の海洋磁気異常に対して試行し、日本海溝から沈み込む太平洋プレートスラブ上の磁気異常を復元することができた(投稿準備中)。 (2)火星磁気異常キャリア物質の推定 火星磁気異常は約40億年前に形成されたと考えられ、現在まで安定して存在しなくてはならない。本研究代表者を含む研究グループは、磁鉄鉱粒子の飽和磁化、保磁力、キュリー温度などの磁性について、圧力・温度依存性を系統的に研究してきた。実験結果および理論的考察をもとに、火星磁気異常のキャリアとして、単磁区・擬似単磁区・多磁区磁鉄鉱粒子の妥当性を検討した。その結果、火星磁気異常のキャリアとなりうる磁鉄鉱粒子は10ミクロンより小さな細長い形状であることを示唆した(投稿・改訂中)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
磁気異常の地形対応マッピング法を開発したこと、火星磁気異常キャリアの岩石磁気学的検討を進めたことは、磁気異常生成と火星の初期進化をつなぐ具体的描像を得る可能性をいっそう高めたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度にあたり、火星磁気異常の高分解能図を作成し、火星地形との対応を定量的に検討して、火星地殻内磁化物質の分布状況を明らかにする。さらに、磁化物質分布から、火星地殻形成にいたる火星初期進化を検討する。
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Causes of Carryover |
研究の進捗に伴い、最新情報をより広く収集する必要があるため、当初予定以外に、平成30年4月・6月に2回の国際学会出張を行う(4月:ヨーロッパ地球物理学連合学会@オーストリア・ウィーン、6月:アジア・オセアニア地球物理学連合学会:アメリカ・ホノルル)。
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