2019 Fiscal Year Annual Research Report
Detection of missing triggered slow events toward understanding physical characteristics of the plate interface
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16K05537
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮澤 理稔 京都大学, 防災研究所, 准教授 (80402931)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 低周波地震 / 動的誘発 / 2017年チアパス地震 |
Outline of Annual Research Achievements |
大地震によって励起された表面波が通過する際に、南海トラフ沈み込み帯で超低周波地震が誘発される事が本研究により発見された成果を受け、国外のプレート沈み込み帯のスロー地震発生域における低周波微動・地震の誘発現象を調べた。対象としたのはメキシコのプレート沈み込み帯であり、2017年にメキシコ南部で発生したマグニチュード8.2のチアパス地震(テワンテペク地震)による誘発微動を調査した。現地の地震観測記録を入手し調査したところ、これまで誘発微動が確認されていなかったメキシコ中部のハリスコ州で、表面波が通過している際に微動が誘発されている現象を発見した。現地の地震観測網が不十分なことによる制約から、震源を特定するに至らなかった。このため大型計算機を用いた全波動場シミュレーションにより、プレート形状の波動場に与える影響と、プレート境界面上の応力変化分布の様子を調べた。この結果、ハリスコ州付近ではプレートの境界が比較的浅くなっている影響で、通常低周波微動が発生している領域においては、周囲のプレート境界面に比べて応力変化値が大きくなっている特徴が分かった。つまりハリスコ州周辺では構造の影響によりプレート境界面上で応力変化が大きく、微動が誘発されやすかったと考えられる。またその値は、観測波形から逆問題として推定した地下の応力変化値と整合的である事も確認された。微動発生域の摩擦に掛かるパラメータ推定のために、誘発に作用した応力変化値と誘発微動の振幅との関係を調べたところ、これまで南海トラフの沈み込み帯で推定された関係と良く似ていることが分かった。この結果は、メキシコのプレート沈み込み帯における巨大地震の発生サイクルシミュレーション等の研究の際に、摩擦パラメータを付与する条件として役立てることが出来る。
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