2017 Fiscal Year Research-status Report
惑星核条件における惑星内部物質の音速と密度の関係(バーチ則)の検証
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16K05541
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
境家 達弘 大阪大学, 理学研究科, 助教 (60452421)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 鉄合金 / 音速 / 地球核 / スーパーアース / 予備加熱 / ニッケル / シリコン |
Outline of Annual Research Achievements |
地球核、特に外核の組成に制約条件を与え、地球・惑星の形成過程を理解することが目的である。大型レーザーによる動的圧縮法を使って地球核条件下での地球核物質の音速・密度測定を行い、地球深部の情報を持つ地震波データと直接比較可能な音速データ(弾性波速度)を使って外核の組成を評価する。また得られた音速データから、巨大惑星やスーパーアースの中心核の組成にも制約条件を与える。物質科学的な応用として、音速と密度の間にある線形関係が固体と液体の間で普遍であるかどうか検証することも目的とする。 大型レーザー装置を用いて、他の手法では再現困難である圧力条件下で鉄合金や金属の音速等の物性測定を行っている。鉄合金や金属試料を用いた音速測定は、最大1000 GPaまでの圧力でデータを取得した。同じ圧力で比較した場合、シリコンを含有した鉄合金は純鉄よりも音速は大きく、ニッケルを含有した鉄合金は純鉄よりも音速は小さくなることがわかった。また、音速と密度の関係においては、鉄合金だけでなく金属試料に対しても線形に変化する傾向(バーチ則)が見られた。音速の密度に対する変化率は、純鉄へのシリコンやニッケルの含有量の増加に伴って、線形に変化する傾向が見られた。この結果を用いて外核組成を評価すると、シリコンのみが含有する場合、外角中にシリコンが最大で9-23 at.%含まれ得ることがわかった。 一方で、地球外核条件での音速データを取得するために、真空中で試料を予備加熱する装置開発を行った。前年度作製した真空容器内で試料を予備加熱するための加熱システムを構築した。予備テストではヒーター部で700℃までの加熱を確認した。見積もりでは、この温度でこれまでの実験条件で音速測定を行えば、地球外核上部の温度・圧力条件で音速データを取得することが可能になる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シリコンおよびニッケルを含有した鉄合金の音速測定結果から純鉄の音速に対するシリコンとニッケルの影響を評価し、地球外核組成に制約条件を与えることが出来た。またシリコンおよびニッケル単体の音速測定結果から、金属試料においても音速と密度の間に線形関係が存在する可能性を示唆した。地球核条件での音速測定を実現するための予備加熱装置の開発は、真空容器内で試料を加熱するためのシステムを構築し、予備テストでは必要となる高温状態を発生可能であることを確認した。以上の結果から、本研究課題はおおむね順調に進展していると考えられるため。
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Strategy for Future Research Activity |
鉄合金の各組成に対する音速と密度の線形関係(バーチ則)において、音速の密度に対する変化率に見られた傾向を先行研究による固体の結果とも比較を行って、バーチ則の固体液体間に存在し得る普遍性を検証していく。予備加熱装置開発においては、大型レーザー装置への導入を考慮して、試料の設置やヒーターの配置を検討する。
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Research Products
(1 results)