2016 Fiscal Year Research-status Report
大気中で自由落下成長する樹枝状雪結晶に形態多様性をもたらす条件を解明する風洞実験
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16K05551
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
高橋 庸哉 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (60236297)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 樹枝状雪結晶 / 自由落下成長 / 風洞実験 / 雲微物理過程 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.鉛直過冷却雲風洞整流部の改修: 使用風洞は雪結晶の落下速度に等しい上昇気流を与えて、空中の一点に浮かせながら成長させ、天然雲内における雪結晶の成長を再現できる点が他に類を見ない特徴である。これを可能にした主な機構の一つはハニカムによる整流である。この部分のプラスチックが撓み、密閉度が落ちたため、雪の結晶を支えることが困難となっていることが分かった。そこで、厚さ20mmのアクリルを用いて、同部の改修を行った。 2.露点計精度の検証: これまで用いてきた水晶露点計と購入した鏡面冷却式露点計(精度:±0.1℃dp、校正済)を比較検討した。-5℃から-27℃の露点温度範囲で測定したところ、両者の差は最大で0.24℃であった。露点から雲水量を求めるが、これまでの測定での誤差は十分小さいことが確められた。 3.水飽和条件で成長時間5分及び20分の樹枝状雪結晶成長実験: 成長時間10分のデータと比較するために、成長時間5分及び20分で実験を行った。成長時間10分の場合と同様に、成長時間5分でも樹枝状雪結晶の形態多様性は第一義的に気温に依る。気温の低下とともに、結晶形は扇六花、広幅六花、星六花、樹枝六花と変化する。さらに低下すると逆順となり、扇六花に至った。雲水量の増加に対しては-14.3℃では樹枝六花→羊歯六花、-14.6℃では星六花→樹枝六花と変化した。結晶直径の気温依存性は成長時間10分の場合と同様の傾向を示す。即ち、気温の低下とともに結晶直径は増加し、この間に結晶形は扇六花から広幅六花、星六花へと変化する。その変化は-13.5℃以下でゆっくりとなり、副枝が成長する。-14.8℃で成長がピークとなり、さらに気温が低下すると減少していく。 4.雪の結晶に関する出張授業: 成果を普及し、地域素材を活かした雪に関する学習内容向上を図るために道内小学校4校で1~2月に実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
装置の改修がやや遅れたが、雪結晶の成長時間5分での実験を概ね完了することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
雪結晶の成長時間5分のデータ整理を行うと共に、成長時間20分での実験を集中的に行う。
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Causes of Carryover |
鏡面冷却式露点計が予定額より若干安く購入できたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
シリコンオイルやカバーグラス、記録紙等の消耗品購入に使用する。
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Research Products
(1 results)