2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K05559
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
馬場 雄也 国立研究開発法人海洋研究開発機構, アプリケーションラボ, 研究員 (60512861)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 積雲対流 / 統計的雲構造 / 雲解像モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までに構築した積雲対流モデルを用いて、一次元カラムモデルを構築し、既存の積雲対流モデルとの特性の違いについて検証した。結果、既存モデルは雲底付近で浅い希釈された対流によって、地表面付近の水蒸気を下層大気へと輸送する効果が、新しいモデルに比べて強いことが分かった。また、計算される対流の深さも、既存モデルの方が新しいモデルに比べて浅い傾向があることが明らかになった。 次に、この積雲対流モデルを大気大循環モデルへと実装した。実装に当っては放射過程や陸面過程、境界層過程、非対流性雲モデルなど、他の物理過程についてのチューニングを行っている。 この傾向を踏まえて、大気モデル比較実験(Atmospheric Model Intercomparison Project)の設定で、大気大循環モデルを用いた気候ランによる感度実験を実施した。この感度実験では既存モデルと開発した新しい積雲対流モデルのみを変更して、積雲対流モデルによる大気大循環場の違いを検証した。気候場の平均的な傾向として、新しい積雲対流モデルは既存モデルに比べて、西太平洋で降水の正のバイアスと、海洋上の短波放射の正のバイアスを低減することが分かった。この原因を調べたところ、先の一次元カラムモデルで明らかになった傾向と関連があり、既存モデルは浅い雲を過剰に計算してしまうことに原因があることが分かった。さらに対流由来の大気変動を再解析データと比較して調べたところ、既存モデルに比べて、新しいモデルの方がより正確に大気変動を再現している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一次元カラムモデルを用いた実験、大気大循環モデルを用いた感度実験を実施し、解析に着手できており、当初計画していた実施内容を年度内に終了できていると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
対流に関連した大気変動の解析を継続する。加えて、積雲対流モデルを今回の検証で使用した大気モデルとは別のモデルに実装し、得られた知見が他の大気モデルでも有効であるのか、再検証する。
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Causes of Carryover |
予定していたデータ処理システムを、感度実験データがまだ充分に蓄積していなかったため購入しなかった。平成30年度にデータ処理システムの購入にあてる。
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Remarks |
所属する機関から承認を受けてMITライセンスにて積雲対流モデルのソースコードを公開。
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Research Products
(8 results)