2018 Fiscal Year Research-status Report
全球雲システム解像気候モデルによる極端降水強度の将来変化予測
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16K05560
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| Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
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Principal Investigator |
横井 覚 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門大気海洋相互作用研究プログラム, 主任研究員 (40431902)
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| Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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| Keywords | 極端降水 / 将来変化予測 / NICAM |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、全球雲システム解像気候モデルNICAMによる現在気候再現実験及び将来気候予測実験（NICAM-AMIP実験）の出力データを解析し、集中豪雨に代表される極端降水現象の将来変化を予測し、その物理的解釈を行うものである。既往の予測研究で用いられてきた全球気候モデルでは極端降水をもたらす雲システム活動を陰的にしか表現していなかったのに対し、NICAMは直接的に表現できるという特長があるため、極端降水強度の将来変化をより精度良く予測できると考えている。
昨年度までで、全球気候モデルによる研究が豊富に存在する熱帯（北緯30度－南緯30度）海域に焦点を絞り、緯度経度1度格子・1日スケールにおける上位0.1パーセンタイルの極端降水強度について、将来変化の平均降水量依存性を調査した。また、日降水量と1時間降水量について極端降水強度変化を比較し、平均降水量の上位1/3の格子では1時間降水量の増加率が日降水量の増加率を上回っていることを示した。
本年度は、極端降水強度将来変化の時間・空間スケール依存性について更に調査を行った。具体的には、格子サイズを緯度経度0.5625度から4.5度まで、時間スケールを1時間から10日まで変化させて平均降水量の上位1/4の格子での極端降水強度の増加率を比較した。その結果、時間スケール6時間以上になると増加率が時間スケールと共に減少すること、格子サイズに対しては1.1度付近で増加率が最大となる非線形的な依存性が見られること等が判明した。時間スケール依存性が見られた原因について議論するため、降水継続時間を比較したところ、将来気候予測実験の方が短くなっていることが判明した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度当初の目標は、昨年度までの結果を受け、追加解析を行ったのちに原著論文にまとめることであった。追加解析に予想以上の時間がかかってしまったため、原著論文の完成には至らなかった。そのため、「やや遅れている」と評価した。
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| Strategy for Future Research Activity |
まずは、現在執筆中の、今年度までに得られた研究結果をまとめた原著論文を早急に仕上げる。さらに、格子間隔依存性についての物理的解釈を深め、水収支解析を用いた強度変化の解釈の成立する時空間スケールの範囲を明らかにする。
時間に余裕があれば、第6次結合モデル相互比較計画（CMIP6）の現在気候・将来気候実験データも取得し、NICAM-AMIP実験の結果との比較を行う。
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| Causes of Carryover |
本研究課題は、海外協力者としてアダム・ソーベル米国コロンビア大学教授にアドバイザ役をお願いしている。今年度に同大学を訪問し密な議論を行う予定だったが、先方の都合がつかず、代わりにメールベースによる議論を行ったために、渡航費用として計上していた旅費が未使用となった。また、論文発表を予定していたが、これも間に合わなかった。以上により、次年度使用額が生じた。
使用計画は次の通りである。次年度は同大学を訪問する予定はなかったが、顔を突き合わせて議論を行うことは意義深いので、同教授と調整のうえ訪問を実現させたい。また、論文発表も行う。さらに、CMIP6の実験データを取得・蓄積するためのストレージが不足しているので、新たにストレージを購入する。
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