2018 Fiscal Year Research-status Report
上層傾圧循環の謎: 南東インド洋表層循環を例として
Project/Area Number |
16K05562
|
Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
古恵 亮 国立研究開発法人海洋研究開発機構, アプリケーションラボ, グループリーダー代理 (30311640)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | ルーイン海流系 / 渦解像モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度にタスマニア大学とニューサウスウェールズ大学を訪問し、そのとき進めた研究を本年度は論文として投稿・出版を行った。本研究の主な主題である南東印度洋上層循環については、ルーイン海流・ルーイン潜流の三次元構造についての2017年の論文を発展させ、今度は渦解像モデルの結果を精密に解析し、等密度面にとの関連で三次元構造の描像を明らかにした。その結果、ルーイン海流系が南東印度洋のサブダクションの一部になっているようであること、鉛直拡散は無視できること、流れの密度が変わって見えるのは、水平方向の流入流出のためであること、中規模渦による時間変動が密度面を横切らない沈み込みを可能にしているらしいこと、などが分かった。この結果を論文にまとめ出版した。また国内外の学会で発表した。
また、タスマニア大学の学生を指導し、卒業研究としてルーイン海流の季節変動を、渦解像モデルの結果を解析することで調べた。ルーイン海流の季節変動は鉛直方向に一様ではなく、従来の海面高度変動による説明だけでは不十分であるらしいことがわかった。その研究はその大学の卒業論文となった。それを学術誌に投稿すべく、現在、学生の指導教官と相談している。
本研究から派生した、豪州南岸の流系についての共同研究は、いままでは断片的にしか分かっていなかった流系の三次元構造を明らかにした画期的な研究で、ニューサウスウェールズ大学の大学院生が主著者となり論文を執筆し投稿した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H29年度に豪州を訪問した際に進めた研究が三件とも、本年度(H30年度)計画通り論文などになったため(「研究実績の概要」を参照)。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度(2019年4月から)は、2017年と本年度の研究で明らかになった沈降流の行方、さらに、ルーイン潜流の内部領域への広がりを、海洋大循環モデルと観測データから調べる予定である。可能であれば、ルーイン海流の季節変動(「研究実績の概要」参照)を理論的に理解するために、半解析モデルを構築したい。
|
Causes of Carryover |
出版社からの論文出版費の請求が遅れたため、支払いが年度末に間に合わなかった。また、使用データが予想より少なくハードディスクの購入を取りやめた。国際学会の二つのうち一つが東京で行われたので旅費の使用が予定より少なかった。
次年度に、論文の出版費、国際学会一回、タスマニア大学での研究打ち合わせに支出予定である。
|
Research Products
(6 results)