2020 Fiscal Year Research-status Report
上層傾圧循環の謎: 南東インド洋表層循環を例として
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16K05562
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
古恵 亮 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 付加価値情報創生部門(アプリケーションラボ), グループリーダー代理 (30311640)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ルーイン潜流 / 季節変動 / 海洋大循環モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
ルーイン海流系の年変動を調べるべく、JAMSTECの渦解像海洋モデルOFES2の結果から五日間隔の気候値を作成した。沿岸流の構造を抽出するために、200-m 等深線にそった座標を設定し、また、豪州北西岸からの信号の伝播を見るために、その部分だけ45°回転した座標としたデータを作成した。
ルーイン海流の界面付近の年変動は従来の知見の通りであったが、ルーイン海流の中でも深い方は、海面付近からの遅れがあることが分かった。また、Furue et al. (2017)で私達が示した鉛直循環もルーイン海流と同期して変動していることが分かった。さらに、ルーイン潜流の季節変動がはっきりしないのは Furue et al. (2017)と同様であるが、5月から7月にかけてルーイン潜流が豪州北西岸に沿って延伸しているかのように見える流れが見つかった。詳しく鉛直構造を調べてみると、ルーイン潜流の延伸というよりは、インドネシア通過流出口付近で励起された傾圧沿岸補足波が伝播してきているものであるかのように見える。現在、この結果を論文にまとめるべく詳細に解析している。さらにこの結果を理論的に解釈するために、沿岸捕捉波のモードを計算する Brink and Chapman (1987) のプログラムを使い、理論的に予測される沿岸捕捉波とOFES2モデルの結果を比較している。
また、研究協力者が主著のインド洋循環に関する総説論文に共著者として参加し、ルーイン海流系などの最新の知見を執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本来ならタスマニア大学に滞在し研究協力者のHelen Phillips と相談しながら研究を進める予定であったのを、コロナのために訪問を中止したから。
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Strategy for Future Research Activity |
上述の、豪州北西岸の潜流の論文を投稿する。それと前後して、2021年度中にタスマニア大学に滞在し、Helen Phillips を始め現地の研究者と相談し、現在の研究のまとめと、今後の展開について話し合う予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で、タスマニア大学訪問を取りやめたこと、また、参加予定の研究集会が中止になったことで、旅費を使わなかった。次年度では、タスマニア大学を訪問するために、また、できたら研究集会や学会に参加するために、旅費を使う。また、論文出版費としても使う。
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Research Products
(1 results)