2021 Fiscal Year Research-status Report
上層傾圧循環の謎: 南東インド洋表層循環を例として
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16K05562
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
古恵 亮 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 付加価値情報創生部門(アプリケーションラボ), グループリーダー代理 (30311640)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 東岸境界流 / 潜流 / 季節変動 / 沿岸捕捉波 |
Outline of Annual Research Achievements |
JAMSTEC実施の渦解像海洋大循環モデルから年周期データを作成し、そのデータの豪州北西岸に、新しい季節潜流を見つけた。大陸斜面の上端付近に接するように流れ、およそ二月に北西向きの極大、五月に南西向きの極大を迎える。年周期だと惑星ロスビー波が西方伝播する領域であるので、東岸境界流の存在自体が力学的に興味深い。 データを更に解析し、位相が大陸斜面に沿って南西向き・上方に伝播することがわかった。さらに振幅最大値が、南西方向に向かうに連れ少しずつ深い方向に移動しているようにも見える。周波数ごとに分解すると、1年周期が卓越しており、加えて半年周期・1/3年周期の寄与もあることがわかり、それぞれが左記のような伝播をみせる。 以上の性質は、変動が沿岸捕捉波の重ね合わせであると考えれば辻褄が合いそうだと考え、ごく簡単な理想的な沿岸捕捉波の半解析解を構成してみたところ、ある程度モデルデータ解析との一致をみた。 以上の結果を論文にまとめ、Frontiers of Marine Science誌に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績で述べた発見は予期していなかったもので、これからの発展も大いに期待できる。一方で、豪州東岸の潜流が岸を離れていく仕組みの研究をタスマニア大学のHelen Phillips博士と共同で進める予定であるのが、コロナ禍のためタスマニア大学を訪問できず、進んでいない。
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Strategy for Future Research Activity |
可能ならタスマニア大学を訪問し、豪州東岸の研究を再開する。基礎的な解析結果はHelen Phillips博士がすでに持っており、それを論文としてまとめるための具体的な方策を相談する。同時に、上記研究実績で述べた新発見の潜流を豪州の研究者と議論し、発展の方向を探る。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため、タスマニア大学を訪問することができなかった。次年度はタスマニア大学を訪問する旅費として残額の多くの部分を使う予定。
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Research Products
(2 results)