2018 Fiscal Year Annual Research Report
Ocean circulation changes in the Pacific Ocean and the Bering Sea originated from the Arctic Ocean
Project/Area Number |
16K05563
|
Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
川合 義美 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境観測研究開発センター, 主任研究員 (40374897)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増田 周平 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境観測研究開発センター, グループリーダー (30358767)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 海洋物理 / 北極海 / ベーリング海 / 塩分 / 海面高度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は引き続き、大気再解析データの解析によりベーリング海・チュクチ海の海洋変動が大気に与える影響を調べた。チュクチ海では海氷が最も後退し海面温度が最も高くなるのは8月~9月であるが、海上風の収束や上昇流が卓越するのはこの時期ではなく、海氷が広がり始める11月頃であった。この頃にはチュクチ海南部は温暖なアラスカ沿岸流のため結氷が始まってもまだ温度が高いが、北部では海氷上の気温がかなり低くなっている。このため海面温度の水平勾配はこの時期に最大となり、中緯度の水温前線域と同様に大気下層での収束・上昇流の発生につながる。11月頃にこのような現象が卓越するということは、これまでに指摘されていない新しい発見である。一方、ベーリング海では夏季以外の季節で、水深が急激に変化する大陸棚外縁に沿って海面温度の水平勾配が最大となり、2月頃にこの海域上で大気下層の収束・上昇流が見られた。また、夏季以外の季節で、大陸棚外縁を挟んで南北で下層雲の雲水量や海面到達日射量に差異が生じていた。これは、海底地形が冬季混合層の形成を通して海洋表層の水温に影響し、その結果として下層雲や海洋に入射する日射にまで影響を与えたものと考えられる。これらの成果は日本地球惑星科学連合2018年大会で発表した。 これまでの解析で北極海のロシア沿岸における海面高度の変化がベーリング海北西部の塩分変化を引き起こし得ることを示したが、4次元変分法海洋データ同化システムを用いた感度実験を行ってこれを確かめた。ベーリング海のナバリン岬沖の表層で塩分が増加したというシグナルに対してアジョイント逆追跡を行った。このシグナルに対する海面高度の感度は、時間を遡るとロシアの岸に沿って北上して北極海に入って西進し、これまでの解析による指摘を裏付ける結果となった。
|