2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K05579
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
脇田 浩二 山口大学, 創成科学研究科, 教授 (80358366)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ペルム紀 / トリアス紀 / 付加体 / 放散虫化石 / 砕屑性ジルコン |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度では,山口県美祢市のトリアス系美祢層群・ペルム系常森層,山口県周南市のペルム系錦層群・周防変成岩類について地質調査を実施し,微化石層序の検討や砕屑性ジルコンのU-Pb年代の測定などを実施した。美祢層群では,平原層・桃ノ木層・麻生層についてそれぞれ地質調査を行い、このうち、桃の木層の昆虫化石の分類を行うと共に、生痕化石を発見した。また、桃ノ木層と麻生層について砕屑性ジルコンのU-Pb年代の測定を行った。その結果、昆虫化石については、多くの目・属について同定を進め、データベース化を実施した。砕屑性ジルコンのU-Pb年代は、従来知られていた化石年代層序と全く合わない結果が出たので、トリアス紀の火成活動が不充分であったことが想定される。常森層では、新しくできた道路のカッティングにおいて、露頭観察を行い、この地層が付加体とは異なり、整然層からなることが判明した。また、後期ペルム紀の放散虫化石Follicuculus scholatiscusを発見したが、同じ露頭の砕屑性ジルコンのU-Pb年代は中期三畳紀を示し、化石が二次化石であるのか?ジルコンの年代測定に問題があるのか?今後の課題となっている。錦層群では、中期ペルム紀の放散虫化石の同定を進めるとともに、泥岩優勢なユニットの検討を進めた。また周防変成岩類の砂質片岩について予察的な研究を進め、後期ペルム紀から中期三畳紀の砕屑性ジルコンのU-Pb年代を得ることができた。これらの成果については、2016年日本地質学会第123年学術大会(東京:日本大学)において、3件の研究発表を行うと共に、古生物学会2016年年会(福井県立大)においても、研究発表を実施している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トリアス系美祢層群については、昆虫化石の同定とデータベース化が着実に進行している。また、桃ノ木層と麻生層について、砕屑性ジルコン年代を測定した結果、これまでの生層序と異なる結果が得られた。また、ペルム系常森層において、後期ペルム紀の放散虫化石を産出した同じ露頭において、中期三畳紀の砕屑性ジルコン年代が得られたのは、今後の解決すべき問題であった。非常に幸いであったのは、常森層の新たな露頭が道路カッティングで現れたことで、これにより、詳細な層相の解析を行うことが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ペルム紀からトリアス紀、及び、白亜紀前期から白亜紀後期の後背地の変化を、付加体や陸棚相堆積岩類を対象に、堆積岩石学的な検討や砕屑性ジルコン年代の測定によって、検討していく。また、ジュラ紀付加体の年代による変形程度の累積と、付加体終焉時におけるテクトニクスと地質構造の変化から解き明かしていく。
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Causes of Carryover |
昨年度、ジルコンの年代測定が,名古屋大学の都合で1回しか実施できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ジルコン年代測定のための旅費に充当する。
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Research Products
(6 results)