2018 Fiscal Year Annual Research Report
Biodiversity recovery from the Late Paleozoic mass extinction in mid-latitude region
Project/Area Number |
16K05598
|
Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
重田 康成 独立行政法人国立科学博物館, 地学研究部, グループ長 (30270408)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 三畳紀 / 絶滅 / 回復 / 生物多様性 |
Outline of Annual Research Achievements |
中緯度地域における古生代最末期の大量絶滅事件とその後の回復過程を理解するために、平成30年10月に2週間の予定で、ロシア・プリモーリエ州南部地域において、三畳系の地質調査を行なう予定であった。しかし、海外共同研究者である極東地質研究所(ロシア・ウラジオストック)の研究者2名の都合が悪く、協力が得られない状況であったので、現地での地質調査を断念した。そこで、国内に保管されている日本産三畳紀アンモナイトの図示、記載標本の観察を進めると同時に、これまでの調査で採集された岩石・化石資料を用いて、化石の分類学的研究や生層序学的研究を行った。 東北大学において、これまで三陸地方や四国から記載された三畳紀前期アンモナイトの記載標本を観察し、必要に応じてレプリカを作製した。田穂石灰岩(愛媛県)産のスミシアン後期のアンモナイト群や大沢層(宮城県)産のスパシアン期のアンモナイト群は、プリモーリエ州南部の同時代のアンモナイト群に類似することがわかった。同種と思われる種類も多く含まれており、分類の再検討は、各地で独自に提唱されている化石帯の見直しにつながり、高精度年代層序の確立の基礎となりうる。 大沢層は弱い生物擾乱を受けた泥岩を主体とする。アンモナイトによる対比から、同様の特徴を示す泥岩はプリモーリエ州南部地域にも見られることがわかった。このことは、パンサラッサ海西部の中緯度地域に、似たような環境が広がっていたことを示唆する。 昨年度のロシア・プリモーリエ州南部地域での地質調査の際、スパシアン前期の地層から骨の化石を採集した。共同研究者と検討した結果、最古級の魚竜の骨とわかり、国際学会で報告した。また、スミシアン/スパシアン境界の対比について、国際学会で発表した。ロシア・プリモーリエ州南部地域の三畳紀前期の炭素と窒素の同位体比変動と生物の生息環境に関する論文を発表した。
|