2017 Fiscal Year Research-status Report
太陽系初期における含水天体の進化:始原的隕石と彗星ダストからの検証
Project/Area Number |
16K05603
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
小松 睦美 総合研究大学院大学, 学融合推進センター, 助教(特定有期雇用) (50609732)
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Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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Keywords | 隕石 / 小惑星 / 水質変成 |
Outline of Annual Research Achievements |
始原的コンドライト隕石は、大規模な加熱は経験していないものの、母天体である小惑星で様々な程度の水質変成および熱変成を経験している。本研究では、始原的コンドライト隕石の中でも、母天体での変成の影響が少ない、CRコンドライト隕石を対象として研究を行った。CRコンドライト隕石は、NASA Stardist探査でサンプルリターンを行ったWild2彗星に類似した隕石であることが知られており、太陽系外縁部の物質進化を理解するヒントを持っていると考えられる。 昨年度に引き続き、南極産CRコンドライト9サンプルについて系統的研究を行った。ラマン分光分析でマトリックス中に含まれる有機物の加熱度合の見積もりを行ったところ、8サンプルについては加熱の影響がみられなかった。1つのサンプル(Y-982405)には、有機物のグラファイト化が見られ、他のサンプルに比べ高温の加熱を経験していることが分かった。Y-982405の鉱物学的特徴と他のCRコンドライトの先行研究結果を加味すると、Y-982405は短期間の加熱を受けた可能性が高い。 CRコンドライト隕石は、その希少性から母天体であるCR小惑星についての議論は行われておらず、小惑星がどのような進化を遂げたかは良くわかっていない。本研究結果での系統的分析を元に、CR小惑星の進化についての論文を取りまとめているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は順調に進展している。今年度の結果は、Hayabusa 2 Multiscale Science Meeting (フランス、5月)、Meteoritical Society Annual Meeting (アメリカ、7月)、Symposium on Antarctic Meteorites (東京、12月)において発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究結果での系統的分析を元に、早急にCRコンドライト隕石から推測する母天体の進化についての論文を取りまとめる。
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Causes of Carryover |
投稿中の論文出版費用として確保していた予算が、出版時期が未定のため繰り越しとなったため。
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Research Products
(5 results)