2018 Fiscal Year Annual Research Report
Empirical research of electron-phonon interaction on transition-metal oxides
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16K05604
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| Research Institution | Kanazawa University |
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Principal Investigator |
奥寺 浩樹 金沢大学, 地球社会基盤学系, 准教授 (50401881)
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| Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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| Keywords | 鉱物物理 / 電子フォノン相互作用 / Mn-doped magnetite / Ni-doped magnetite / trimeron / 格子歪み |
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| Outline of Annual Research Achievements |
最終年度に実施した研究の成果：平成29年度までに育成した Ni(x)Fe(3-x)O(4)(x = 0.0 ~ 0.8) と Mn(x)Fe(3-x)O(4)(x = 0.0 ~ 1.0) の二系列の磁鉄鉱試料合計14種について、それらの組成（若干の陽イオン欠損を含む）を精密に決定した。Mn を導入した系列については当初の目論見通りの組成範囲であることが確認されたが、Ni を導入した系列については x の上限が 0.6 に留まり、かつ、幾つかの試料は以降の結晶構造の検証に適さない（結晶性が低い）ものであった。このため、育成した 12 試料に加えて、基準となる端成分磁鉄鉱試料の合計13試料について構造を検討した。両系列とも異種原子の導入により原子変位の絶対量は急激に増加した。これは異種原子の導入による原子位置のぶれに加えて原子間結合が変質したことによる結合の脆弱化を示している。六配位陽イオン席の変位の異方性が急激に減少し、最終的には異方性が逆転した。
研究機関全体を通じて実施した研究の成果：本研究では磁鉄鉱が示す半金属-絶縁体転移と電子-フォノン相互作用との関連を解明することを目的としていた。具体的には、高温相（半金属相）に異種原子（当初の目論見ではTi, Cr, Zn、最終的には Mn, Ni）を導入し、電気伝導度の低下に伴う原子間距離と原子変位量及びそれらの異方性の変化を検証した。それにより鉄-酸素間の結合力が急速に弱まること、特定の格子振動モードが消失することが示された。消滅するフォノンと低温相（絶縁体相）での原子変位を比較することによって、低温相で報告されている原子変位が確かに「凍結されたフォノン」であることを確認した。本研究では高温相から低温相への一次相転移が電子と相互作用しているフォノンの瞬間的な凍結により生じることを単結晶X線構造解析の手法のみで示した。
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