2016 Fiscal Year Research-status Report
低気圧高密度均一プラズマ源のためのネオ磁場配位型リングホロー磁化放電の新展開
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16K05634
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
大津 康徳 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50233169)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | リング状ホロー磁化放電 / ホロー効果 / 低気圧高密度プラズマ / 容量結合型放電 |
Outline of Annual Research Achievements |
永久磁石を用いてリング状ホロー溝内にネオ磁場配位を形成し、低気圧下で高密度リングホロー磁化放電を確立させるために、以下の実績を得られた。(1)設計したリング状ホロー溝を持つアルミニウム製電極のホロー溝の外側に、円筒型ネオジウム磁石を複数個配置した低気圧高密度リングホロー磁化放電プラズマ装置を構築した。ネオ磁場配位を検討するために、3つの永久磁石の設置位置を検討した。その際、2次元の電磁界シミュレータを用いて、リング状ホロー溝付近の磁力線分布を解析し、ホロー内でプラズマが効率的に生成できる永久磁石配置を詳細に件とした結果、ホロー溝側面に、NS-SNという配置が最もホロー内で電子を効率的に磁場閉じ込める配置として最適的であるカスプ磁場配位を実現できることが分かった。 その最適配置を行ったリングホロー磁化放電電極を既存の高真空装置に設置することにより、(2)低気圧高密度リングホロー磁化放電の確認を行った。アルゴンガス1Pa程度を導入し、低電力(20W)を電極に注入することにより、電極表面の不純物の除去を行い、試運転を数時間行うことにより、安定なリング状の高密度プラズマの生成を達成させることに成功した。直径0.1mm、長さ3mm程度のニードルプローブを高真空容器の下部フランジから導入し、リングホロー磁化放電電極表面から60mmの範囲のプラズマ密度分布の空間分布を計測した。電極表面のホロー溝直下では、10^10-10^11cm^-3程度の高密度を達成できていた。即ち、本方式が低気圧高密度プラズマ生成源を実現できることを表している。ホロー溝の最適化を行い、10mm程度がプラズマ生成効率が高いことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究概要でも述べたように、2次元電磁界シミュレーションにより、リングホロー溝内に最適な磁界配位を検討した。(a)ホロー溝底部の外側に、円筒磁石を設置させた短距離発散型磁配位、(b)ホロー溝側面のその両側に、円筒磁石を同極配置となるように設置させた長距離発散型磁界配位、(c)ホロー溝側面のその両側に、円筒磁石を異極配置となるように設置させたカスプ状磁界配位について2次元磁界空間分布解析を行った結果、(c)の磁界配位が、ホロー内で電子の壁への損失を抑制できることから、その配置を実際の電極に用いることに決定した。 実際の装置に、(c)のカスプ状磁界配位になるように、永久磁石を配置し、そのサイズや配置個数を検討した。アルゴンガス圧力1Paで、高周波電力50Wをリング状ホロー磁化放電電極に注入することによりプラズマを生成した結果、安定にプラズマが生成できることを確認できた。磁石のサイズと個数を最適化することにより、クリアにリング状溝内に、高密度リング状プラズマが生成できることも明らかとなった。具体的には磁石直径を小さく、その設置個数を増やすことで、達成できた。 その後、自作の静電プローブを用いて半径方向や軸方向に移動させることにより、プラズマパラメータの空間分布を計測した。その結果、リング状溝直下で、10^11cm^-3以上の高密度プラズマを達成していることが分かった。また、プラズマの半径分布は、リング状溝が最も高い分布となり、電極から離れるに従って、均一な分布となることも分かった。静電プローブによる計測の際、ホロー溝電極付近では、磁界分布が複雑な分布をしているため、電子が磁界に束縛され、静電プローブによる電子の捕集が困難となった。それを解決するために、磁界の束縛をほとんど受けない正イオンの計測から、プラズマ密度の算出を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度では、永久磁石の種類を変化させることにより、リングホロー内の磁場強度を変化させて、電子のホロー溝壁での損失を制御する検討を行う予定である。平成28年度は、磁石としてネオジウム製を用いた。表面磁場が数1000Gと高いため、電子の閉じ込めは良いが、静電プローブへの磁界の影響が課題となる。また、コスト面から安価なフェライト製に比べて価格が2倍程度あるので、実用化において課題が残る。そこで、フェライト、サマリウムコバルトなどの他の磁石を用いて低気圧高密度プラズマが実現できるかどうかを実験的に明らかにする。更に静電プローブを用いて電子エネルギーも検討する。
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Causes of Carryover |
真空ポンプや消耗品が予定より低価格で購入できたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度で計画している購入物品以外に必要となった物品の購入に当てる予定である。
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