2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K05651
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
勝木 明夫 信州大学, 学術研究院総合人間科学系, 教授 (70283223)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 磁場効果 / 磁気配向 |
Outline of Annual Research Achievements |
芳香環をもつ有機分子の磁気配向について検討を行ってきた.磁気異方性の大きな有機分子は微小サイズの段階(微結晶段階については不明)から,磁場による配向の可能性が高い.また,配向以外の磁場効果として結晶面と液体の間の境界面の磁化率勾配に対する磁場効果,対流への磁場効果によるモルフォロジーが期待できる.アミノピレン誘導体のような芳香環を持つ蛍光性物質と並行して,無置換の芳香族類を芳香環のサイズを変えながら系統的に比較検討することを進めている.多環式芳香族であるコロネンについて,不純物の影響を取り除くために,複数回の昇華精製を行い,マイクロメートルオーダーの結晶を作成した.この結晶については,今回購入した電源装置を用いて電磁石の磁場内でも作成に成功している.1.2 T程度の磁場でも配向していることがわかった.現在,様々な実験条件でできるよう,実験条件の検討および測定系の構築を進めているところである. 磁場装置の方は,ようやく電源装置と接続し,20 Aで約1.2 Tの磁場強度が得られることを確認したところである.まだ再設定に時間がかかっている段階である.観測システムの方は,顕微鏡に接触式の変位計を組み合わせたものを作成し,分解能として0.5マイクロメートルオーダーを得ることができた.これにより,結晶の奥行方向の長さを測ることができるため,微小サイズの結晶の体積の見積もりができるようになった.サイズによる配向性の違い,磁場強度による違いの比較検討を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
耐震工事後の大まかな再レイアウト設定は終了したが,電磁石用の電源接続後の設定に時間がとられている.顕微観察において,奥行き方向の変位を観測するための装置を組み立てているが,0.5マイクロメートルまでが限界のようである.このため,当初の想定よりも遅れている.これについては,次年度の購入予定の電源と組み合わせることで検討している.また,他の公務にとられる時間が増え,昨年度は学会出席ができず,論文作成ができなかった.昨年度に予定していた分も含めて,実験を展開する必要がある.
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Strategy for Future Research Activity |
有機結晶成長への磁場効果,特に微小スケールへの影響を観測するための電磁石,電源,および観測システムの構築を平成30年度も引き続き進める.観測試料として,無置換の多環式芳香族を中心に電荷移動錯体等の磁気異方性が高い結晶が成長する条件の検討,呈色している試料あるいは,蛍光性の試料を用いることで,現在検討を進めている.また,形状異方性による磁場効果についても検討する.
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