2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K05658
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
松本 正和 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 准教授 (10283459)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 氷 / 水 / 分子動力学 / ネットワーク構造 / 統計力学 |
Outline of Annual Research Achievements |
未知の構造が生じうるシステムにおいて、構造変化を検知するのは容易ではない。我々は2つの側面から、新奇構造を発見する手助けとなるツールを開発した。 1つめは、水分子が構成しうる、多種多様なネットワーク構造を可能な限り作りだし、いつでも参照できるようにすることである。このために、GenIceツールを開発した。GenIceは既知のすべての氷結晶構造のみならず、シミュレーションや理論、あるいは類縁構造の他物質ですでに知られているネットワーク構造をもとに、氷の構造を生成する。これにより、水分子が作りうる数百種類の構造を参照できるようになった。もう一つは、実空間パターンマッチングによる構造識別法の開発である。通常、実験で結晶構造を判定する場合には回折法(逆空間での構造識別)が用いられる。これは、実験では欠陥の少ない結晶が得られる一方、原子位置を直接決定できないためである。一方、シミュレーションの場合には、原子位置は厳密に知ることができる一方で、大きな結晶が自発的に生じることはまれであり、回折像からの逆推定は困難であることが多い。我々は3D geometric hashingにより局所構造の繰り返しを検出して結晶単位胞を割り出すツールを開発した。これらのツールは本研究課題のみならず、水を扱うさまざまな研究で利用可能であり、かつシミュレーションと分析の対象となる水の構造の種類を飛躍的に増やす。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大学の講義時間と学期区分の変更により、講義準備に費す時間が大幅に増えたため、前期はほとんど研究ができなかった。ただし、今年度からは通常の業務負荷に戻る予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
表面を有する系(水溶液系、生体膜、人工壁面など)の構造を準備し、水和状態をシミュレーションする。また、生体分子の水和状態に関する情報をタンパク質データバンクで調査し、それらについても同様の解析を進める。
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Causes of Carryover |
大学の講義時間と学期区分の変更により、講義準備に費す時間が大幅に増えたため、前期はほとんど研究ができなかった。ただし、今年度からは通常の業務負荷に戻る予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
海外からの大学院生を受け入れ、研究を補助させる計画であり、人件費の支出が当初予定よりも増加する見込みである。
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