2018 Fiscal Year Annual Research Report
Exploring mid-IR marker bands relevant to conformational analysis of nucleic acid bases
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16K05662
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
三枝 洋之 横浜市立大学, 生命ナノシステム科学研究科(八景キャンパス), 教授 (90162180)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 核酸塩基対 / 中赤外スペクトル / 気相クラスター |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はこれまで気相クラスターを用いて、核酸塩基対(水素結合型、スタッキング型)、水和構造(塩基、糖への水和)、糖やリン酸基の立体構造(syn、anti構造)などを赤外分光法により検討してきた。しかし、近赤外領域に現れる振動はNHやOH伸縮振動のような局在化したモードであるため、高次構造に関する直接的な情報を得ることが困難である。そこで本研究では、中赤外領域での振動スペクトルを測定することで、核酸塩基対の立体構造をより顕著に反映するようなマーカーバンドを見出すことを目的とした。対象はグアニンを含む塩基対、9-メチルグアニン2量体[(9MG)2]と9-メチルグアニン-1-メチルシトシンWC型塩基対[(9MG)(1MC)]である。 (9MG)2の中赤外スペクトルには強度の大きな3つのピークが観測された。このうち1721cm-1のピークは計算スペクトルとの比較から、2つのC6=O伸縮振動が反対称的(out-of-phase)に結合したバンドと帰属した。しかしこの基準振動に対するそれぞれの塩基のC6=O伸縮内部座標(internal coordinate)の寄与は-11%と12%であり、9MG単量体の場合の58%に比べかなり低下していることがわかった。この場合、最も大きな内部座標の寄与はN1Hを含む面内変角で、22%と見積もられた。このように一般にC=O伸縮振動と帰属されているピークも塩基対を生成すると、他の振動の寄与が大きくなる。一方対称的結合(in-phase)の強度は殆どゼロである。他の2つのピーク1667と1646cm-1では、2つのアミノ基変角内部座標の反対称結合の寄与が大きく、またこの2つの違いは面内変角の位相が異なる点である。以上から、塩基対を生成すると内部座標の寄与の割合が大きく変化するため、詳細な内部座標の解析が必要であることを明らかにした。
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Research Products
(5 results)