2017 Fiscal Year Research-status Report
表面増強ラマン散乱明滅現象の二色同時超解像撮影による金属上分子配向変化の解明
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16K05671
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
北濱 康孝 関西学院大学, 理工学部, 助教 (00342775)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 1分子計測 / 表面増強ラマン散乱 / 明滅現象 / 冪乗則 / 超解像イメージング / 表面増強蛍光 / 光ピンセット |
Outline of Annual Research Achievements |
明滅現象を示し単一分子測定されていることが明らかな表面増強ラマン散乱(SERS)および表面増強蛍光(SEF)活性分子の二色同時撮影動画を、超解像イメージングによって解析し正確な位置の時間変化を見たところ、SERSでの空間的揺らぎが減少して消失するにつれてSEFでの空間的揺らぎが増大するという結果が得られた。これは、銀表面で揺らいでいたSERS活性分子が、エネルギー移動による蛍光消光が起きてしまう銀表面から離れてSEF活性となり、そこでの分子の揺らぎが観測された場合と考えられる。一方、SEFの消失には二種類あった。SEF活性分子の空間的揺らぎが増大しつつ消失した場合はSEF活性分子が増強電磁場の範囲外に出ていってSEF活性で無くなり、揺らぎが減少しつつ消失した場合はさらに銀表面から離れてSEF活性ではなくなったためと考えられる。このように、銀表面近傍の分子の三次元的な動きを明らかにすることができた。 また、レーザー強度を大きくすると分子位置の揺らぎが小さくなった。レーザーを照射することで,波長よりも小さいような微粒子などに電気双極子を誘起し焦点方向へ引き寄せて捕捉する、光ピンセットの現象が起きていると考える。またSEFの方がSERSよりも分子位置の揺らぎが大きいという傾向が明らかになった。SERSは銀ナノコロイド表面上に吸着した分子から,SEFは銀表面から離れた分子から生じるため,活性分子が表面に吸着せず自由に動くことが可能なSEFの方が揺らぎが大きくなったと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
超解像イメージングによって求めたSERSおよびSEF活性分子の空間的揺らぎから、銀表面近傍の分子の三次元的な動きを検討できるのみならず、そのレーザー強度依存性が示すように単一分子に対するプラズモン増強光ピンセットが起きていると考えられる。光ピンセットは非接触で物体を捕捉・操作できる技術であり、これを単一分子に応用できれば任意に配列させた分子素子の作製も可能になり、ナノテクノロジーの世界に大きく寄与できると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
SERSおよびSEF活性単一分子の空間的揺らぎのレーザー強度依存性に関して、通常の光ピンセットの解析で用いられるパワー密度による解析を行い、通常の場合との類似点や相違点を確認する。また、その他の解析法の活用も視野に入れて研究を進めていく。
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Research Products
(10 results)