2017 Fiscal Year Research-status Report
複数のリン原子からなる屈曲型化合物を基盤とした発光性ホスト分子の開発
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16K05684
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
山村 正樹 富山県立大学, 工学部, 准教授 (40524426)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | リン原子 / 発光 / ホストゲスト化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに、リン原子を2つ有する曲面化合物の合成を報告している(Chem. Sci. 2015, 6, 6373) 。この曲面化合物は、2つのリン原子の立体により、syn体とanti体が存在する。前年度はsyn体がanti体に比べて高い蛍光量子収率を示し、anti体は三重項への項間交差効率が高いことを明らかにした。 本年度は様々な曲面化合物の類縁体を合成した。これまでの化合物はリン原子2つがベンゼン環で架橋された構造をもつ。中心のベンゼンをナフタレンとした類縁体では、syn体とanti体が存在する他、syn体において鏡像異性体が存在する。ナフタレンを有する曲面化合物のsyn体は、ベンゼンを有する化合物に比べて長波長に蛍光を示した。ナフタレンを有する曲面化合物では、syn体とanti体における蛍光スペクトル、蛍光量子収率にほとんど違いが見られなかった。また、syn体の鏡像異性体についてはキラル構造を取ることから、円二色発光(CPL)が期待されたが、CPLシグナルが非常に弱く観測することはできなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新規に合成した曲面化合物とゲストとなるフラーレンとのホストゲスト錯体の単離を試みたが、構造解析できる錯体は得られなかった。また、溶液中における曲面化合物とフラーレンとの会合定数が非常に小さい(錯体の生成比が小さい)ため、ホストゲスト錯体の各種分光測定が困難となった。
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Strategy for Future Research Activity |
効率的なホストゲスト錯体の生成法を開発する必要がある。これまでの検討から疎水作用または極性溶媒の疎溶媒作用がホストゲスト錯体形成に有効であると考えられるため、親水性のホスト分子を開発して、ホストゲスト錯体の形成を試みる。
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Causes of Carryover |
物品費として計上していた文房具類を学内予算でまかなったため、若干の余剰金が生じた。
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