2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K05698
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
高瀬 雅祥 愛媛大学, 理工学研究科(理学系), 准教授 (90516121)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ピロール / 拡張π電子系 / 曲面π電子系 / アザコロネン / 酸化還元特性 / ラジカルカチオン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、(1)窒素原子を含むベルト状のπ共役を有する環状化合物の構築、(2)ピロール縮環拡張π電子系化合物の構築、(3)近赤外吸収能を有するオリゴピロールの構築、を主な研究目的として取り組んでいる。(1)においては、ベルト状分子の部分構造体であるビシクロ[2.2.2]オクタジエンで架橋されたヘキサピロロヘキサアザコロネン(HPHAC)二量体の合成に成功し、酸化剤を用いた滴定実験などから、二つのHPHAC間におよぼす影響について検討している。(2)においては、HPHACの中心骨格をナフタレンに置き換えたfused-OPNの酸化種(ラジカルカチオン、ジカチオン)の光学特性、芳香族性などについて、DFT計算を行うと共に、吸収スペクトルやNMR測定により実験的に明らかにした。さらにπ拡張されたピロール縮環アザコロネンや部分的に渡韓していない「部分渡環体」の合成にも成功しており、現在その構造と基礎物性解明を進めている。また、π拡張ウラジンの合成にも成功し、その光学・酸化還元特性を明らかにすることが出来た。一方(3)においては、スクアリン酸やクロコン酸などのオキソカーボン酸とオリゴピロール、チオフェンなどを共役させたいくつかの分子の合成に成功し、その構造と光学特性との相関に関する知見を集めることが出来た。 さらに、一連の化合物の合成の際に用いてきた芳香族求核置換反応を用いて、キラリティーを有するプロペラ状π電子系化合物の合成にも成功し、円偏光発光を示す事などから特許出願も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究課題も二年目を終え、当初計画していた上記の3つの研究テーマに関連して、いずれも新規かつ興味深い構造・物性を有する化合物を合成することが出来た。まだ未発表のものも多いが、今後の展開を期待させる重要な実験データは得られていることから、当初の計画以上に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度を迎え、現在合成研究を進めている研究課題の区切りを検討する。と同時に、これまでに得られている新規化合物について、必要なデータをまとめ、論文執筆・投稿を進める。
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Causes of Carryover |
当初の計画以上に化合物合成がうまく進行したため、消耗品としての試薬購入費をおさえることが出来た。
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Research Products
(26 results)