2016 Fiscal Year Research-status Report
アルブミン変異体を用いる効率的な不斉ニトロアルドール反応に関する研究
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16K05706
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Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
松本 一嗣 明星大学, 理工学部, 教授 (90260215)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須賀 則之 明星大学, 理工学部, 准教授 (00396219)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ヒト血清アルブミン / 不斉ニトロアルドール反応 / ピキア酵母 / 組換えタンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに、ヒト血清アルブミン(Human Serum Albumin, HSA)を用いることで、芳香族アルデヒドを基質としたニトロアルドール反応不斉触媒機能を見出している。高純度HSAが比較的高価であり、反応性・エナンチオ選択性をさらに向上させる上でも、更なる検討が必要となった。 まず、従来の反応を見直し、反応条件の最適化を行った。基質としては、4-ニトロベンズアルデヒドを用いて最適条件を探っただけでなく、様々な基質での反応を行うことで、本反応の基質適用範囲の確認を行うことができた。また、市販されている米の種子から得られる組換えHSAを用いた反応でも、不斉ニトロアルドール反応が進行することを確認した。 一方、平行して、ピキア酵母の組換えタンパク質発現系によるHSAの調製を試みた。HSAのcDNAをピキア酵母の分泌発現ベクターpPICZαAにIn-Fusionクローニングし、ピキア酵母ゲノムのメタノール誘導性のAOX1遺伝子プロモーター領域にHSAタンパク質の遺伝子を挿入するためのプラスミドを構築した。このプラスミドを制限酵素処理により線状化したのち、ピキア酵母X-33株にエレクトロポレーション法により導入した。得られた形質転換ピキア酵母株の中からメタノール誘導によりHSAを培地中に多く分泌するクローンを選択し、RKY005株を得た。この株をBMGY液体培地で培養し増殖させた後、さらに2 LのBMMY液体培地で48時間振盪培養し、メタノール誘導によりHSAを培地中に分泌発現させた。この分泌されたHSAを硫安沈殿した後、脱塩カラム処理により粗精製した。その結果、2 Lの培養上清中から分泌発現された19 mgのHSAを粗精製することに成功した。現在、この粗精製HSAによるニトロアルドール反応の不斉触媒活性を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの検討により、ヒト血清アルブミンの基質適用範囲が明らかとなり、アルブミン変異体作成のための基礎データを得ることができた。また、市販のHSA遺伝子を元に、ピキア酵母の形質転換体から組換えアルブミンを分泌発現させ、組み換えアルブミンを回収することに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の課題、および、推進していく方向として、次のようなものを考えている。 1)反応性やエナンチオ選択性を短時間で正確に分析するアッセイ法を確立する。 2)アルブミンの立体構造をシミュレートして、アルブミン-有機化合物の相互作用を推測する。 3)反応をNMRでリアルモニタリングし、反応の可視化をはかる。 4)作成した組み換えアルブミンを精製し、これを用いた不斉ニトロアルドール反応を試みる。そして、アルブミン変異体の作成の礎を構築する。
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Causes of Carryover |
年度末に行う予定だった実験が、仕事の都合上、行うことができなかったので、その分、次年度繰り越す必要が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度早々に予定の実験を行うので、その分の試薬を購入する。
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