2018 Fiscal Year Research-status Report
優れた蛍光特性を有するヘテロヘリセンの効率的合成法の開発
Project/Area Number |
16K05710
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Research Institution | Anan National College of Technology |
Principal Investigator |
大谷 卓 阿南工業高等専門学校, 創造技術工学科, 講師 (70339109)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ヘリセン / 脱水素環化 |
Outline of Annual Research Achievements |
ダブル環化反応に展開することにより,6-5-6-6-6-5-6 型縮環を持つ7環式アザヘリセンを市販品からわずか2工程で合成する方法をすでに度開発している.即ち,市販品である2,9-ジクロロ-1,10-フェナントロリンにアニリンを反応させ2,9-ビス(フェニルアミノ)-1,10-フェナントロリンとした後、mCPBA と4-メトキシヨードベンゼンから系中で発生させた超原子価ヨウ素試薬を作用することにより,脱水素型のN-H/C-Hカップリング反応が進行し,ほぼ定量的にテトラアザヘリセンを合成することに成功している. 新たなヘリセンの合成法を目指し,p-フェニレンジアミンに2当量の2-クロロピリジンを反応させ得られる化合物を酸化的N-H/C-H カップリング反応条件に付すと6-5-6-5-6骨格を持つS字型縮環化合物ではなく,5-ヘリセンが選択的に得られることを見出した.2-クロロキノリンを用いて同様の手法を行うことにより,6-6-5-6-5-6-6骨格を持つ7-ヘリセンの合成にも成功した.本手法が汎用性のあるヘリセン合成法であることを示唆する結果と言える.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以前に開発した超原子価ヨウ素試薬による酸化的N-H/C-H カップリング反応による縮環型化合物の合成法をダブル環化反応に展開することにより,6-5-6-6-6-5-6 型縮環を持つ7環式アザヘリセンを市販品からわずか2工程で合成することに成功した.即ち,市販品である2,9-ジクロロ-1,10-フェナントロリンにアニリンを反応させ2,9-ビス(フェニルアミノ)-1,10-フェナントロリンとした後、mCPBA と4-メトキシヨードベンゼンから系中で発生させた超原子価ヨウ素試薬を作用することにより,ほぼ定量的にテトラアザヘリセンを合成することに成功した.光学分割より両エナンチオマーを単離することができ,それらが優れた円偏光発光特性を示すことも明らかにした.2,9-ジクロロ-1,10-フェナントロリンに順次アニリン誘導体を反応させることにより非対称の 2,9-ビス(アリールアミノ)-1,10-フェナントロリンを合成する方法を開発し,それに超原子価ヨウ素試薬を作用し,2度の脱水素環化反応を連続的に行うことにより,非対称のヘリセン誘導体を合成することに成功した.骨格の末端に電子供与基と電子求引基を導入すると量子収率が高くなる傾向があることが示唆された. 新たなヘリセンの合成法を目指し,p-フェニレンジアミンに2当量の2-クロロピリジンを反応させ得られる化合物を酸化的N-H/C-H カップリング反応条件に付すと6-5-6-5-6骨格を持つ5-ヘリセン型に縮環した化合物が選択的に得られることを見出した.2-クロロキノリンを用いて同様の手法を行うことにより,6-6-5-6-5-6-6骨格を持つ7-ヘリセンの合成にも成功した.
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Strategy for Future Research Activity |
筆者は,2,9-ジクロロ-1,10-フェナントロリンに順次アニリン誘導体を反応させることにより非対称の 2,9-ビス(アリールアミノ)-1,10-フェナントロリンを合成する方法を開発し,それに超原子価ヨウ素試薬を作用し,2度の脱水素環化反応を連続的に行うことにより,非対称のヘリセン誘導体を合成することに成功している.本反応を応用してさらに量子収率の大きなヘリセンの合成法を検討する. 新たなヘリセンの合成法であるp-フェニレンジアミンを用いる合成をさらに発展させ,9-ヘリセンの合成を目指す. また上記の成果を論文として誌上発表する.
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Causes of Carryover |
昨年度は,1)試薬をそれほど使わなかったので物品費が予定使用額を下回り,2)データの集積に研究時間を使ったため,学会発表を行わなかったので出張旅費が予定使用額を下回った.本年度は,研究の方向性が昨年以上に鮮明になっているので,物品費の使用は,実験器具や試薬の購入にあて,研究を効率化する.旅費は,共同研究者とディスカッションのための交通費,および研究成果を発表するための学会参加の交通費に主に充当する予定である,
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