2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K05711
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
和泉 博 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (20356455)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 立体配座 / IUPAC命名法 / 機能性有機分子 / ケモインフォマティクス / 三次元化学構造検索 / プログラム / 赤外円二色性分光法 / 創薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)構造解析データ連携CCOMプログラムの開発 昨年度、SMARTS記法を活用して密度汎関数法(DFT)計算のための初期構造を作成するConfFragGenerationプログラムを報告した。ところが、環構造の場合には共有結合を自由に回転させることが出来ず、立体配座を発生させることが出来なかった。そこで、大員環構造に焦点を当て一旦環上の特定の共有結合を切断し、有機3Dフラグメントデータベースの構造データを共通化させ、DFT計算のための初期構造を自動生成するRingFragGenerationプログラムを開発した。開発したプログラムを用いて、ラパマイシン等のマクロライド分子の赤外円二色性(VCD)分光法を利用した立体配座解析を行い、これまで報告されていなかったオキサリル基の水素結合様式を見出した。 立体配座の命名法として、IUPAC(International Union of Pure and Applied Chemistry)命名法が広く利用されているが、その中のRule P-94.2は同一の分子にのみ適用可能であり、異なる分子の共通部分構造には適用できなかった。プログラム開発を進める中で新たな規則を思いつき、創薬の置換基最適化など産業応用において汎用性の向上が期待されることからIUPACに提案した。命名法委員会の会長との議論の結果、議題としてIUPACの機関紙であるChemistry Internationalへの掲載が認められた。 また、複数の分子の立体配座を一度に比較可能とする、立体配座コード文字列を出力するConfCodeView3プログラムを開発し、アカデミア向けにresearchmapからダウンロード可能にした(https://researchmap.jp/muw5jd1rl-2132135/#_2132135)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1.構造解析データ連携CCOMプログラムの開発について、プログラムが順調に開発できただけでなくその応用として、臓器移植に重要なマクロライド分子のもつオキサリル基の水素結合様式を見出すことができた。さらに、IUPAC Rule P-94.2に代わる新たな規則の提案に関して議題として認められ国際的な波及効果が期待されることから、達成度として①と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2)CCOMプログラムを用いた3Dフラグメントデータベースの構築 VCD分光解析を中心に、1)で改良したCCOMプログラムを用いてさまざまなキラル有機分子のコード化解析を行う。別途X線結晶構造データに水素原子を付加した立体配座との3D構造比較を行う。CCOM及びConfCodeView3プログラムを発展させ、プラバスタチンmb-4c6a2cモチーフのような、機能に大きな影響を及ぼす立体配座パターン変化を示す構造モチーフをフィンガープリントとして記述するプログラムを開発し、データマイニングに活用する。さらに、精度を検証した上で1000フラグメントに対応可能な、実験研究者が使いやすい機能性有機分子設計用3Dフラグメントデータベースを構築する。 あわせて、IUPAC規則の改正につながるように国際学会研究成果発表などの取り組みを行う。
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Causes of Carryover |
購入予定だった有機分子構造データ連携解析装置に使用する、最大共通部分構造(MCS)ライブラリーは1年間しか使用できないことが判明したため、極力自作で対応することに方針転換した。IUPAC規則の改正につながるように立体化学に関する国際学会研究成果発表への使用を予定している。
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