2017 Fiscal Year Research-status Report
構造制御に基づくハロゲン架橋一次元錯体の電荷双安定性と機能の創出
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16K05713
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高石 慎也 東北大学, 理学研究科, 准教授 (10396418)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 強相関電子系 / 混合原子価 / 配位高分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度は擬一次元ハロゲン架橋金属錯体と呼ばれる物質系を中心にその熱電特性の評価を行った。擬一次元ハロゲン架橋金属錯体はNi, Pd, Ptを中心金属とした一次元電子系物質であるが、CoやCuなどをドープすることでその電子状態を連続的に制御できることが知られている。我々はNi錯体とPd錯体に対してCoをドープすることでどのように熱電特性が変化するかを調べた。本研究では[PdII(R,R-chxn)2][PdIV(R,R-chxn)2]Br2]Br4、および[NiIII(R,R-chxn)2Br]Br2 (R,R-chxn = 1R,2R-diaminocyclohexane)を対象とした。加えてここに異種金属として電子不足なコバルト三価をドーピングした[Ni1-xCox(chxn)2Br]Br2、[Pd1-xCox(chxn)2Br]Br2を合成し、xを変化させながらゼーベック係数Sの測定を行った。この測定により、n型半導体である[NiⅢ(R,R-chxn)2Br]Br2へのホールドーピングによるゼーベック係数Sの減少を確認できた(表1)。真性半導体である[Pd(R,R-chxn)2Br]Br2ついては抵抗が極めて高く、ホールドーピングによるゼーベック係数の変化を系統的に評価することは出来なかったが、パラジウムMX錯体へのコバルトドープの報告例はまだなされておらず、新規化合物である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
白金錯体においては平均原子価状態を実現することができていないが、パラジウム錯体については塩素架橋金属錯体においても平均原子価状態を実現することができ、その時のバンドギャップは臭素架橋金属錯体よりも大きく、本錯体の電子状態をパイエルスハバードモデルで説明することもできたため。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、パルスX線レーザーを用いた光誘起相転移の可視化や、色素増感太陽電池に色素兼電子輸送層として利用するなど、これまでに得られた新奇な電子状態、様々な方向に向けて利用していきたいと考えている。
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Research Products
(2 results)