2016 Fiscal Year Research-status Report
界面分子エピタキシャルによる近赤外光電変換デバイスの創成
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16K05715
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
金井塚 勝彦 山形大学, 理学部, 准教授 (50457438)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 界面化学 / 近赤外 / 自己組織化 / 光電流 / 電子移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
サステイナブル社会の実現には,枯渇資源利用からの脱却,すなわち再生可能エネルギー安定供給システムの創出が重要な課題である.再生可能エネルギーの創出はすでに様々な角度からプロジェクトが展開されており,太陽光発電(蓄電),燃料電池,熱電,バイオエタノールなどが挙げられる.その中で無尽蔵に降り注ぐエネルギー利用の観点から,申請者は太陽光利用に着目した研究を遂行している.これまでの研究では,分子や無機化合物はHOMO-LUMOやバンドギャップに相当する波長のエネルギーを吸収するため,紫外から可視光領域の光が利用されてきた.今回は,分子の相互作用を利用することで,吸収帯を近赤外領域まで拡張させ,透明な光電変換デバイスを作製することを考えた. 本研究では,界面分子エピタキシャルによる近赤外光電変換デバイスを構築するするために,π共役系が拡張したナフタロシアニン誘導体やナフタロシアニン誘導体を用いて,透明電極上に分子を固定化する実験を行った. 電極上での分子固定の確認は、原子間力顕微鏡、吸収スペクトル測定により行った.その結果,分子固定前後で表面モルフォロジーが大きく変化しており,また,分子に由来するQバンドが顕著に観測されたことから,ナフタロシアニン誘導体とナフタロシアニン誘導体を透明電極上に固定できていることが示唆された. なお,原子間力顕微鏡による表面観察では,凹凸は10ナノメートル程度であり,分子が集まってドメインを形成していることがわかった.吸収スペクトル測定では,分子を有機溶媒に溶解させて測定したスペクトルよりも電極上に固定したスペクトルの方が長波長側に大きくシフトしていることがわかった.これは分子と分子が電子的な相互作用をすることによるものと考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定した計画通りに研究が進んでいる.特に,π共役系が拡張したナフタロシアニン誘導体やナフタロシアニン誘導体の薄膜を電極上に構築でき,近赤外領域に吸収が見られた.
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Strategy for Future Research Activity |
界面分子エピタキシャルによる近赤外光電変換デバイスを構築するするために,初年度は,π共役系が拡張したナフタロシアニン誘導体やナフタロシアニン誘導体を用いて,透明電極上に分子を固定化する実験を行った.2年目は近赤外領域に吸収を持つナフタロシアニン誘導体担持電極の光電流発生について研究を進める.特に,研究計画で記載したように,近赤外用モノクロメータと光源となるハロゲンランプならびに光ファイバーを連結させ,単色光を透明電極に照射した際の光量確認を行う.また,この単色光を透明電極に照射し,電気化学装置を組み合わせることで得られる電流量の測定を行う.
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Causes of Carryover |
当初の計画との差は主に旅費によるものである.参加を予定していた学会が学内業務のためスケジュールが合わず残予算が発生した.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度の差額は学会等による成果発表または情報収集のための旅費に充てる.
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