2016 Fiscal Year Research-status Report
金属-炭素配位子間の空軌道拡張による有機典型金属触媒の精密自在制御法の確立
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16K05719
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西本 能弘 大阪大学, 工学研究科, 助教 (30550115)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 有機金属化合物 / アルミニウム |
Outline of Annual Research Achievements |
金属と炭素配位子間の空軌道の相互作用により触媒機能を精密かつ自在に制御可能な有機典型金属触媒の合成を行う。炭素配位子として芳香環骨格を採用することで、効果的に金属上の空軌道が拡張される。この拡張した空軌道によって、ソフトなルイス酸性およびπ酸性が向上する。さらに、空軌道が相互作用しているために、炭素配位子上の置換基効果が鋭敏にルイス酸性に反映されるために、触媒能の精密自在制御が可能となる。元素戦略の観点から、希少な遷移金属に代わり、豊富な典型金属の活用は急務の課題であり、典型金属触媒の新奇触媒機能開発の意義は大きい。このような背景の中、新規有機アルミニウム触媒の開発を行った。コンセプトである「金属と炭素配位子間の空軌道の拡張による触媒能の向上」と「分子内配位による有機典型金属の安定化」を具現化するモデル錯体を合成し、基本的な物性評価・機能評価を行った。母骨格としてはベンゼン環を選択することにより、金属と炭素配位子の空軌道相互作用により拡張した空軌道(LUMO)を発現させた。また、分子内配位子としてオキサゾリン骨格を採用した。これらの分子内配位子は種々の置換基を有するものが合成容易であり、不斉補助基への展開も容易である。さらに第二段階に向けて、官能基許容性の広い合成経路を確立しておく。予備実験にて、ガリウムのモデル錯体の合成に成功しており、さらにガリウム錯体に関しては、ケトンの向山アルドール反応を促進するルイス酸性を有していることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通りの有機アルミニウム化合物の合成に成功し、触媒活性の評価も行えた。
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Strategy for Future Research Activity |
合成した有機アルミニウム触媒を用いた新規有機合成反応の開発を目指す。
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