2016 Fiscal Year Research-status Report
鉄触媒による不飽和結合への典型元素-水素結合の不斉付加反応の開発
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16K05728
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
板崎 真澄 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 講師 (60382032)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中沢 浩 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (00172297)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 鉄触媒 / キラル配位子 / ヒドロホスフィン化 |
Outline of Annual Research Achievements |
光学活性ホスフィン化合物は、医薬品中間体、機能性材料のみならず、遷移金属触媒を用いた不斉合成において欠かすことの出来ない配位子となる。光学活性ホスフィン化合物の一般的な合成法は、ホスフィンオキシド、ホスフィンスルフィド、ホスフィンボラン錯体など酸素や水に安定な化合物を経由して合成される。そのため、手間とコストが係る上、アトムエコノミーの観点からも問題が多いのが現状であった。 以前に我々は安価で毒性が低い鉄を中心金属にもつ錯体 Cp(CO)2Fe(Me) を触媒前駆体とすることで、これまでにほとんど知られていないアルキンへの 3 価有機リン化合物のリン-水素(P-H)結合の直接的付加反応が2回連続で進行し、対応するジホスフィン化合物が得られることを見出している。そこで今回は鉄錯体において、メチル基やカルボニル基などの反応活性部位をそのまま残し、シクロペンタジエニル (Cp)配位子として光学活性なものを用いることで、光学活性ジホスフィン化合物の合成が達成できると考えた。 これまでに新しい光学活性なシクロペンタジエニル (Cp)配位子を有する鉄錯体の合成に成功した。配位子を替えることで触媒反応が進行しなくなる恐れもあったが、この錯体を触媒として用いた場合でも、得られた化合物の光学純度はそれほど高くはなかったが、これまでと同様に炭素-炭素不飽和結合へのダブルヒドロホスフィン化反応が問題なく進行することがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
配位子を替えることで触媒反応が進行しなくなる恐れもあったが、新しく合成した光学活性なシクロペンタジエニル (Cp)配位子を有する鉄錯体を用いて、触媒活性を検討したところ、問題なくダブルヒドロホスフィン化反応が進行することを明らかにした。しかし、得られた化合物の光学純度はそれほど高いものではなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、光学活性なシクロペンタジエニル (Cp)配位子の置換基の嵩高さを調節することで、得られる化合物の光学純度が高くなる条件の検討を行う。また、最適化された条件でP-H結合以外の典型元素-水素結合にも適応できるかどうかも検討する予定である。
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Causes of Carryover |
当初計画を効率的・効果的に進めていくことにより直接経費を節約することが出来た。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
測定機器の修理等に使用し、研究計画に遅延が生じないように努める。
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Research Products
(15 results)