2016 Fiscal Year Research-status Report
超分子ビルディングブロックを用いた水素結合高次階層型金属錯体集積体の構築
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16K05735
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
川田 知 福岡大学, 理学部, 教授 (10211864)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 立太 福岡大学, 理学部, 助教 (00736556)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 金属錯体集積体 / 多重水素結合 / MOF |
Outline of Annual Research Achievements |
多数の分子を特異的に配向・配列させることで, 分子単体ではみられない新規な特異的物性や機能発現が可能である。たとえば、非共有結合による相互作用や異種高分子成分のナノ相分離を利用した界面階層制御法の開拓によって、金属錯体と有機物を融合した新規高分子システムの構築が可能となる。本申請課題では、多重水素結合を埋め込んだ超分子ビルディングブロック、すなわち、無機・有機複合金属錯体モジュール、あるいは多重水素結合サイトを持つ一次元MOFモジュールを基盤に、多重水素結合によりサポートされた高次階層構造金属錯体集積体結晶を構築し、多重結合を通して電子移動とプロトン移動がカップルした機能創発を検討する。さらに、これら金属錯体集積体の結晶サイズ制御法を確立し、機能創発と結晶サイズの相関を明らかにする。以下に、本年度の実績を示す。 1. 溶媒吸脱着をトリガーとする銅(II)ークロラニラト単核錯体からなる層状構造の可逆的構造変換 水素結合により連結された銅(II)ークロラニラト単核錯体は、長鎖アルキルアンモニウムイオンをゲストに持つ二次元層状集積体を形成し柔軟な外場応答性ホストとして機能する。エタノール分子の吸脱着 (化学的外場) に伴いゲストーホスト間の水素結合様式を可逆的に変換させることに成功した。 2. 希土類-オキサラトからなるMOFのプロトン伝導 希土類-オキサラトからなる無機-有機骨格 (MOF) を構築し、そのプロトン伝導特性を検討した。希土類金属イオン上に配位している水分子はルイス酸性が高まっているため、効果的なプロトン伝導経路を形成する。このため、希土類-オキサラトMOFは良質なプロトン伝導体として機能することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多重水素結合によりサポートされた高次階層構造金属錯体集積体結晶の構造、物性等を明らかにし、複数の学術誌に投稿、受理されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度は28年度で得られた化合物群の物理化学的特性を詳細に検討し、複合モジュールの特殊な物性発現を達成するための精密制御法を確立する。
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Causes of Carryover |
本年度導入を予定していた単結晶X線構造解析装置の導入が遅れ、それに合わせて導入を予定していた試料冷却装置購入を見合わせたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度と合わせて約250万の予算があるため、200万を試料冷却装置購入にあて、約50万を旅費等に用いることとする。
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