2017 Fiscal Year Research-status Report
環状光捕集アンテナモデルのサイズ制御を基盤とする光合成機能の解明
Project/Area Number |
16K05749
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
森末 光彦 京都工芸繊維大学, 分子化学系, 助教 (40403357)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 配位結合 / ポルフィリン / 超分子 / 発光 |
Outline of Annual Research Achievements |
亜鉛ポルフィリンとこの配位子とが交互に配列した構造が、自己相補的な二重鎖形成することを前年までに確立した。本質的に正の共同性が期待できる亜鉛ポルフィリンとこの配位子との交互配列構造では、相互作用自体が非常に弱くてもこのような構造形成が期待できる。そこでよりパイ系を拡張できる新たな亜鉛ポルフィリンに対する配位子として、BODIPYのフッ素原子に関して、ポルフィリンとBODIOYの連結化合物を新規に合成し、この自己組織化挙動について検討を行った。この結果、BODIPYのフッ素原子が亜鉛ポルフィリンにイオン-双極子型の相互作用により結合し、逆平行の二重鎖構造を形成した。ポルフィリンとBODIOYを連結しないで混合しただけでは、このような相互作用は観察されず、正の共同性によりBODIPYのフッ素原子と亜鉛ポルフィリンとの相互作用が非常に増強した結果であると考えられる。亜鉛ポルフィリンの中心亜鉛がルイス酸であることから、積層した電子豊富なπ平面から電子を受け取り、一種の配位結合型相互作用を示す可能性がある。比較的電子不足のパーフルオロアレーンはポルフィリン環を構成する電子豊富なピロールと四極子型の相互作用した時、亜鉛の軸位に近接して配置したパーフルオロアレーンは、ハプト2型の配位結合形成を示し、この結果、サンドイッチ型の超分子構造を形成した。興味深いことに、この時のポルフィリンの蛍光量子収率は6倍に増大した。さらに、合成したポリフィリンが無溶媒条件下でガラス化し、固体近赤外発光を示すことを見出した。これはポルフィリンに導入したアセチレンが、ガラス状態で亜鉛の軸位に近接配置し、この結果項間交差を促進し、高密度で生成した三重項同士が結合したこととによる遅延蛍光が観察されていると考えている。このようにポルフィリンの配位結合形成により、新しい集合構造形成、機能発現に繋がることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初予想していなかった新しい機能発現を発見したことにより、産業化への技術移転に繋がる特許取得に至った。この機能発現の動作原理についての解明が必要であるが、構造の面での基盤技術をすでに確率できているという点で、顕著な進歩として捉えている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究目標について、化合物の合成はおおよそ完了しており、この評価を実施する。またこれとあわせて、固体近赤外発光材料の産業化にむけた基盤技術の確立に向けて、引き続き検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
機器購入予定分を見送り、これを本年度および次年度の合成用試薬等の購入分に回した。
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