2016 Fiscal Year Research-status Report
ポルフィリン配位高分子ナノチャネルへの分子導入・配列制御に基づく新規機能開拓
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16K05756
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Research Institution | Josai University |
Principal Investigator |
秋田 素子 城西大学, 理学部, 教授 (30370125)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | テトラピリジルポルフィリン / 配位高分子 / 水熱合成 / 一次元チャネル / 包接体 / 水素結合 |
Outline of Annual Research Achievements |
エタノールを溶媒とし、5,10,15,20-テトラピリジルポルフィリン(TPyP_H2)、遷移金属(II)酢酸塩を用いた水熱合成を行った。酢酸コバルト、酢酸マンガン、酢酸銅を用いると目的とする金属ポルフィリン6量体を基本単位とする一次元チャネル構造を有する配位高分子が生成することを見出した。得られた目的化合物の単結晶化に成功し、単結晶X線結晶構造解析により一次元チャネルに包接される溶媒分子を含めた結晶構造を決定した。また溶媒分子の吸脱着過程について、単結晶構造解析及び熱測定を用いて検討した。 TPyP_Co・H2O・0.5EtOHの室温から400℃までのTG-DTA測定の結果65℃付近で重量減少を伴う吸熱ピークが見られ、減少率から包接溶媒分子の脱離と考えられる。空気流下100℃でTPyP_Co・H2O・0.5EtOHの包接溶媒を完全に脱離させた後、30℃で1時間保持したところほぼ最初の重量に戻った。重量変化から空気中の水を吸着しTPyP_Co・2H2Oが生成したと言える。 この水分子の吸脱着は可逆的であり、複数回のサイクル繰り返しても再現性があった。またこの挙動は単結晶X線結晶構造解析によっても示された。70℃、2時間乾燥窒素を吹き付け溶媒を完全に脱離させた単結晶試料を室温・空気下に2日間おいた後再度測定を行うと、TPyP_Coの一次元チャネル内に水分子が取り込まれ、それらが一次元チャネルと平行な方向、垂直な方向にそれぞれ水素結合していることが示された。特にTPyP_Co・2H2O内の一次元チャネル方向の水素結合はTPyP_Co・H2O・0.5EtOHの場合と異なり、チャネル方向に一次元に連続していることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度の当初計画目標である「水分子がナノチャネル無いに配向した金属ポルフィリンを構成要素とする配位高分子を作製し、その水素結合様式を含めた結晶構造を決定する」を達成し、物性測定として熱分析により溶媒分子の吸脱着過程について明らかにすることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に行った目的化合物合成の条件検討の結果、ほぼ合成条件を最適化できたため、その方法に則り大量合成を行う。また研究計画に基づき、配位高分子内にフラーレンを始めとする種々のゲスト分子を取り込ませた化合物を新たな目的化合物として設定し、合成を行う。
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Causes of Carryover |
平成28年度は目的化合物の合成の条件検討が主であったため、小スケールでの実験が多く、試薬代として計上していた物品費が予定よりも小額であったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は28年度に確立された方法に基づき目的化合物の大量合成を行うため、試薬代として物品費を使用する。また得られた目的化合物の各種物性測定を行うための機器使用料としてその他の経費を使用する。
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Research Products
(1 results)