2018 Fiscal Year Research-status Report
ポルフィリン配位高分子ナノチャネルへの分子導入・配列制御に基づく新規機能開拓
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16K05756
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Research Institution | Josai University |
Principal Investigator |
秋田 素子 城西大学, 理学部, 教授 (30370125)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 多孔性配位高分子 / 水熱合成法 / ポルフィリン / 包接体 / ナノチャネル構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度合成方法を確立したトランス位に4-ピリジル基を有する3種のポルフィリンtransDPyDPP, TPyMPP, TPyPと Mnイオンを用いた溶媒熱合成の条件検討によって 本研究の目的とする一次元ナノチャネルを有する配位高分子化合物transDPyDPP_Mn, TPyMPP_Mn, TPyP_Mnが得られた。単結晶X線結晶構造解析により、ナノチャネル内に取り込まれた溶媒分子を含め た構造決定を行った。昨年度transDPyDPP_Mn, TPyP_Mnの熱測定により、ナノチャネルの内部を向く置換の種類により空孔内部に取り込まれた溶媒の脱離・再吸着の挙動か異なることを明らかにしたが、本年度さらにTPyMPP_Mnについて熱測定を行い、transDPyDPP_Mn, TPyP_Mnのいずれとも異なる溶媒の吸脱着挙動を示すことを明らかにした。以上の3例から、空孔内部からの溶媒分子の脱離はいずれも場合も80℃前後から起こるが、空孔内部に向くピリジル基の数が多いほど空気流下においたときの水分子の吸着量が多く、フェニル基のみのときは全く水分子を吸着しないことが明らかになった。transDPyDPP_Mn, TPyP_Mnへの水分子の吸脱着は可逆的に起こり、さらにこれらの骨格が350℃付近まで安定に存在することがわかった。 また一次元ナノチャネルの空孔サイズの拡大を目的として、新たにトランス位に4-ピリジル基のみを持つ5,15-bis(4-pyridyl)porphyrin(5,15-DPyP)を設計・合成・同定した。(5,15-DPyP)と酢酸亜鉛、酢酸銅、酢酸マンガンを基質とし、直管を用いた拡散法による遷移金属錯体の合成を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度までに一次元ナノチャネル内にフラーレンを取り込んた;超分子構造体を得ることを目標としていたか、現在超分子構造体の作製に用いる配位子である5,15-bis(4-pyridyl)porphyrinの合成方法が確立したところである。現在は直管法を用いた超分子構造体の作製を行っているが、今後は錯体合成で良い結果が得られている溶媒熱合成法を試みる予定であり、そのためにはより多くの配位子が必要である。配位子の大量合成が終わっておらず、目標より研究は遅れているが、これまでに一次元ナノチャネル構造を形成させる水熱合成条件は得られているため、区分をやや遅れているとした。 研究がやや遅れている理由であるが、昨年度末から申請者が病気療養が必要となったこと、研究開始当初予定していなかった国際学会開催の担当者となったことが大きい。
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Strategy for Future Research Activity |
一次元ナノチャネル構造体内部に溶媒を包接したtransDPyDPP_Co, transDPyDPP_Mn, TPnMPP_Mn, TPyP_Co, TPyP_Mnのうち、主に水を含んだ化合物について単結晶での誘電率の測定を研究協力者と協同して行う。 またより積極的に水分子をナノチャネル内に包接させるため、空孔内部にヒドロキシル基が向くことが期待される新たな配位5,15-bis (4-hydroxyphenyl)-10,20-bis(4-pyridyl)porphyrinを合成し、溶媒熱合成法によりチャネル構造を持つ配位高分子を作製する。 さらに5,15-bis(4-pyridyl)porphyrin(本年度合成法を確立)を大量合成し、フラーレン 共存下溶媒熱合成法・拡散法を行うことにより、配位高分子で形成された一次元ナノチャネル内にフラーレンが配列した超分子構造体の構築を目指す。得られた 金属ポルフィリンーフラーレン構造体の構造を単結晶構造解析により明らかにし、またそれらの電気化学的性質を研究協力者と協同して行う。
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Causes of Carryover |
研究の進捗状況に記した通り、申請者が研究期間内に病気療養が必要になったこと及び研究開始当初に予定していなかった国際学会開催の担当になったことから、研究が当初予定よりやや遅れている。そのため、本年度使用予定であった試薬等の消耗品費、成果発表および共同研究のための旅費、学会参加登録費等、論文校閲量を使用しておらず、次年度使用学が生じた。 次年度特に配位子合成実験及び、錯体合成実験を重点的に行うため、試薬等の消耗品費を使用する。また得られた錯体について、研究協力者とともに電気化学測定及び誘電率測定を行うため、旅費及び機器使用料として使用する。研究成果発表として学会発表及び論文投稿を行うため、旅費、学会参加登録比、英文校閲費、論文投稿料として使用する。
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