2018 Fiscal Year Annual Research Report
Phototaxis of Oil Droplets Comprising a Caged Fatty Acid Working with Internal Response
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16K05759
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
鈴木 健太郎 神奈川大学, 理学部, 准教授 (60512324)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 正 神奈川大学, 理学部, 特任教授 (50124219)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 自己駆動 / ケージド化合物 / 走光性 / 両親媒性分子 / 油滴 / 自走性油滴 / 非線形挙動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、疎水的なケージドオレイン酸から油滴が、紫外線照射下で、界面活性のあるオレイン酸を生じる反応を利用して実現する自走性ダイナミクスに関する研究を行ってきた。研究全体を通じて 1. 光分解反応が油滴の紫外線照射面で優先的に進行することで、油滴表面に生じた表面張力差が、油滴の駆動を引き起こしていること。 2. 駆動開始と同時に出現する油滴内部の対流が、油滴表面の表面張力差を維持する役割を担っていること。 3. 結果として、紫外線照射方向にのみ駆動する走光性ダイナミクスが実現されることが明らかとなった。さらに、従来の自己駆動油滴にはない、駆動の開始/停止制御や方向制御や、外界から物理的に切り離された微少空間内での駆動にも成功した。 走光性油滴に代表される、ケージド化合物を利用した本系の特徴は、光照射によってその反応性を制御できることにある。そこで、本研究期間中に開発した二重ベシクルの調整に用いた方法を拡張し、光感受性のないベシクルの内部に、走光性油滴を封入した「油滴封入ベシクル」を作製し、ベシクルに封入された油滴が駆動体となって、ベシクル全体の動きを誘起する系の構築を目指した。少数個の油滴が封入されたベシクルに紫外線を照射したところ、約8割に何らかの駆動が確認された。これは、光分解反応によって生じたオレイン酸が内水相を介してベシクル膜へと達し、これがベシクル外側に不均一な表面張力勾配を作り出した結果であると推測される。 動きを持たない対象に、駆動体を付与することで実現されたこの駆動現象は、分子モータの動きを利用して全体的な動きを作り出す微生物の運動実現機構と類似性があり意義深い。
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Research Products
(15 results)