2017 Fiscal Year Research-status Report
共役イミンへの多段階反応を基軸とする新規合成反応の開発
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16K05772
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
清水 真 三重大学, 工学研究科, 教授 (30162712)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 極性転換反応 / 不斉プロトン化 / α-イミノエステル / N-シリルα-イミノエステル / α-ヒドラゾノエステル / ビニロガスアルドール反応 / ビニロガスMannich反応 / 三環式ピラノインドール誘導体 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)α-イミノエステルのイミノ窒素上の保護基に注目しN-シリルα-イミノエステルおよびα-ヒドラゾノエステルに対する極性転換反応の検討を行い、N-シリルα-イミノエステルに酸性条件下求核剤としてケテンシリルチオアセタールを用いることで、イミノエステルに対してエノラートシントンがN上への求核付加が進行することを見出した。 (2)キラル補助基を有するα-ヒドラゾノエステルに対してGrignard反応剤を用いることで、N,N-ジアルキル化が起こり、続いてエノラート中間体に対してプロトン化剤を作用させ、不斉プロトン化により高ジアステレオ選択的にキラルなα-アミノアミドを得ることができた。 (3)アルケンの末端にアルキルチオ基を有するβ,γ-アルケニル α-イミノエステルに対するタンデムN-アルキル化/ビニロガスアルドール反応においてBF3・Et2O錯体を作用させることでアルキルチオ基を脱離させ、3-アミノ-2-ピロンを得ることができた。Grignard反応剤およびアルデヒドの検討を行った結果、第一級Grignard反応剤を用いた場合および芳香族、ヘテロ芳香族、脂肪族アルデヒドのいずれを用いた場合にも良好に反応が進行した。 (4)末端にフェニルチオ基を二つ導入したβ,γ-アルケニル α-イミノエステルに対するタンデムN-アルキル化/ビニロガスアルドール反応による3-アミノ-2-ピロンの合成を利用し、抗がん活性を有する化合物である三環式ピラノインドール誘導体の合成を達成し、本反応の有用性を示した。 (5)末端に2,6-ジメチルフェニル基を有するβ,γ-アルケニルα-イミノエステルに対してGrignard反応剤を作用させて得られたジエノラートに対し、求電子剤としてイミンを作用させることでタンデムN-アルキル化/ビニロガスMannich反応が進行し、δ-ラクタムが得られることも見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
現在までのところ、α-ヒドラゾノエステルに関しては、予定よりも順調に研究を遂行することができ、不斉プロトン化でも90% deを超えるジアステレオ選択性を達成することができた。この成果により、高い効率の不斉合成反応が、本反応中間体のプロトン化でも達成することが可能なことを示すことができ、アミノ酸類の不斉合成の新たな方法論を提供することができた。 さらに,γ-アルケニルα-イミノエステルに対するタンデムN-アルキル化/ビニロガスアルドール反応においては、末端にフェニルチオ基を二つ導入し、得られたフェニルチオ基を持つ3-アミノ-2-ピロンに対する脱硫反応経て、目的の3-アミノ-2-ピロンJを得た。次にブロモ基を導入し、ビストリフェニルホスフィンパラジウムジクロリドを一当量作用させ、塩基としてピバル酸カリウムを二当量用い、溶媒としてDMAを用い、140℃で24時間反応させることで、目的の三環式ピラノインドール誘導体の合成に成功した。このようにピラノインドールを始めとする、生理活性化合物の合成に利用できることがわかり、その有用性を示すことができた。 以上のように29年度は、予定よりも順調に研究を遂行することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
30年度はα-ヒドラゾノエステルに関しては、アミド生成を伴う、N,Nジアルキル化が効率よく進行することを活用し、適切な官能基変換を経て、αアミノアミド骨格を有する生理活性化合物の全合成を検討する予定である。すなわちグリシトランスポーター1 阻害活性を有する化合物で、αアミノアミド骨格を有する化合物には統合失調症薬としての効果を持有するものが存在する。その特徴的な骨格を本反応とオレフィンのメタセシスを活用して構築し、適切な官能基変換を組み合わせ全合成を達成したい。 タンデムN-アルキル化/ビニロガスMannich反応が進行し、δ-ラクタムが得られることも見出しているので、この反応が幅広い基質に展開できることを検討する予定である。さらに得られるδ-ラクタムは各種生理活性化合物及び機能性化合物の基本骨格に多く見られる構造であるので、それらの化合物の全合成に展開していく予定である。
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Causes of Carryover |
(理由):ほぼ予定額を使用したが、試薬の使用量が当初の計画より少なく済んだため。 (使用計画):30年度に行う、合成反応の探索実験に使用する予定である。
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[Journal Article] Development of a Kilogram-scale Synthesis of a Novel Anti-HCV Agent, CH4930808,2018
Author(s)
Tsuyoshi Haneishi, Yoshiaki Kato, Hiroshi Fukuda, Tomoyuki Shimamura, Takemi Tanokura, Akira Hiraide, Kaichiro Koyama, Masato Fudesaka, Kenji Maeda, Nobuyuki Nakata, Masahiro Nagase, Takahiko Yabuzaki, Hiroaki Takao, Masaharu Kigawa, Hitoshi Shimizu, Makoto Shimizu,
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Journal Title
Organic Process Research & Development,
Volume: 22
Pages: 236-240
DOI
Peer Reviewed
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