2016 Fiscal Year Research-status Report
有機ホウ素分子を活用した位置及び立体選択的β-マンノシル化反応の開発と応用
Project/Area Number |
16K05781
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
高橋 大介 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (00509929)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 糖鎖 / 糖脂質 / グリコシル化反応 / 天然物 / β-マンノシド / 有機ホウ素化合物 / 位置選択的 / 立体選択的 |
Outline of Annual Research Achievements |
天然には、1,2-cis-β-グリコシド結合を有する生物活性物質が数多く存在しており、その構造活性相関の解明に関する研究が精力的に行われるようになってきている。そのため現在、これら配糖体天然物および類縁体の合成的供給が強く求められている。しかし、1,2-cis-β-グリコシド結合の立体選択的な構築は、糖供与体の2位保護基による隣接基関与やアノマー効果が利用できないことから、未だ困難であり、解決すべき課題の一つである。本研究では、有機ホウ素化合物の化学的特性を活用したβ-マンノシド(1,2-cis-β-グリコシド)の位置及び立体選択的グリコシル化反応の開発と配糖体天然物合成への応用を目的として行った。研究の初年度である本年度は、具体的に以下の研究成果を得た。
1、1,2-アンヒドロマンノースとモノオール存在下、ビス(4-フルオロフェニル)ボリン酸とモノオールを複合化したボリン酸‐糖受容体エステルを触媒量作用させることで、その他の試薬を添加することなく、β-マンノシドを立体選択的に合成する新規グリコシル化反応を開発した。さらに、本反応を鍵反応とした天然生物活性糖脂質アクレモマンノリピンAの全合成を達成し、本手法の有用性を明らかにした。
2、4-ニトロフェニルボロン酸とcis-1,2/1,3-ジオールを有する糖受容体とを複合化したボロン酸-糖受容体エステル触媒と1,2-アンヒドロマンノースを糖供与体として用いたβ-マンノシドの位置及び立体選択的グリコシル化反応の開発に成功した。さらに、本反応を鍵反応とした大腸菌 O75由来LPSの部分構造(四糖鎖)の立体選択的かつ効率的な合成を達成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的である、ボリン酸-糖受容体エステル触媒を用いた立体選択的β-マンノシル化反応の開発と天然生物活性糖脂質アクレモマンノリピンA の全合成を達成したため。さらに、ボロン酸触媒を用いたcis-1,2/1,3-ジオールに対する位置及び立体選択的β-マンノシル化反応の開発と大腸菌 O75由来糖鎖の合成を達成したため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、本研究の目的である有機ホウ素化合物の化学的特性を活用した1,2-cis-β-グリコシドの位置及び立体選択的グリコシル化反応の開発と配糖体天然物合成への応用を指向し研究を行う。特に、糖供与体および糖受容体の基質一般性の向上を図る。なお、今後の研究の障害となる問題点はない。
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Research Products
(13 results)