2017 Fiscal Year Research-status Report
顕著な生物活性と特異な化学構造を有するマクロライドの全合成研究
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16K05782
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
南雲 紳史 工学院大学, 先進工学部, 教授 (40246765)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安井 英子 (市川英子) 工学院大学, 先進工学部, 准教授 (00398900)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | マクロライド / エポキシ不飽和エステル / 還元的SN2’反応 / BH3・Et2O / ベンツリシジン |
Outline of Annual Research Achievements |
不斉中心に隣接したZ型三置換アルケンの合成は、今なお困難を伴う課題である。これに対して申請者らは、エポキシ不飽和エステルを基質としたZ型三置換アルケンの一段階合成法を確立している。すなわち、エポキシ不飽和エステルをボラン・THF錯体で処理すると、ボランがエポキシドに配位し、アート錯体となった状態で、ヒドリドがエステルと隣接したアルケン炭素に攻撃するというものである(SN2'反応)。その際のヒドリドのアルケンへの攻撃はエポキシドと同じ側から起こるので、立体特異的である。2018年度は、本反応を鍵工程としてベンツリシジンの全合成を主に検討した。7-ブロモ-4,5-エポキシ-4-メチルへプタ-2,7-ジエノエートを基質とし、ボランによる還元的SN2'反応を行った。この基質は二つのアルケンがエポキシに隣接しているが、エステル側のアルケンだけがヒドリドと反応した。その結果、所望のZ型三置換アルケンを有するエステル化合物およびジオール化合物が生成した。これらは、それぞれ一段階でラクトンに変換後、さらに数工程で、ベンツリシジンの南半球部に相当し、ジヒドロピラン環を有するカルボン酸セグメントを合成した。別途、北半球部のポリプロピオネート部に相当するアルコールセグメントを合成し、これらをエステル化により連結した。最後に閉環メタセシスで20員環ラクトンを構築することになっていたが、様々な検討を行う中で、20員環ランクトンを形成すると途端に酸や塩基に弱くなることがわかった。そこで、全ての保護基を除去後、最終段階で閉環メタセシスを行った。その結果、数百ミリグラムレベルの合成を実現できた。現在、合成中間体の物性データを集め、投稿準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ピペステライドBの最終的なマクロラクトン化反応は解決されてないが、その鍵工程は解決している。トルビエルチンの合成は、進展が遅れているが、ベンツリシンジンの全合成が完成した。
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Strategy for Future Research Activity |
ピペステライドBの全合成を目指し、最終段階のマクロラクトン化の検討を行う。そのためには、原料であるセコ酸の量的供給が必要である。2名の学生を充てることにより、早期に原料合成を終え、問題解決に取り組む方針である。また、本格的にトルビエルチンC誘導体の全合成を進めるために博士課程の学生を担当とする。
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Causes of Carryover |
他の予算から、消耗品費がある程度使えたことに加え、次年度、他の予算の削減が見込まれているから。
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Research Products
(9 results)