2016 Fiscal Year Research-status Report
らせんポリフェニルアセチレン膜の超高速光環化による超分子自立膜の創製と膜の機能化
Project/Area Number |
16K05785
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
浪越 毅 北見工業大学, 工学部, 准教授 (30452072)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 超分子自立膜 / 光環化反応 / ポリフェニルアセチレン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、申請者が見出した実用的なスケールで超分子膜を合成できる水素結合で主鎖のらせん構造が固定化されたポリフェニルアセチレン膜(ポリ(DHPA)類)の光環化反応による超分子自立膜の調製法を発展させるものであり、キセノンランプで通常1週間~1か月必要とした反応の高速化を目指し、それにより超分子自立膜の機能化の研究を推進させる。 この目的を達成するため、らせんポリフェニルアセチレン膜(前駆体ポリマー:ポリ(DoDHPA))の光環化反応の超高速化(超高速SCAT)の実現のため、ポリ(DoDHPA)膜のSCAT反応に用いる光の波長の検討を行なった。 具体的には、まず以下について検討した。 一方向巻きらせんポリフェニルアセチレンであるポリ(DoDHPA)膜のSCAT反応を詳細に検討するため、紫外光(UV)から可視光(Vis)までの光源を用いて光照射を行い、反応速度の波長依存性を調べ環化反応に有効な波長の探索を行った。 ポリ(DoDHPA)膜にUV(235.7-579.1nm)とVis(385-740nm)の光をそれぞれ照射し、反応にかかる時間と最終的な環状化合物の生成率を求めた。UV光の場合は72時間で反応が終了したのに対し、Vis光の場合は3週間と反応が遅かったが、環化物の生成率98%と高かった。一方、UV光では不溶化が起こったため74%と低かった。さらに、Vis光を400-500nmと600-700nmに分けて比較した結果、400-500nmの光源を用いた反応が早く、ポリマーの主鎖の吸収波長に対応していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
反応の有効波長探索を行ってきた。さらに反応の高速化のために高出力レーザーの使用を想定したが、膜の薄さのため使用できなかった、適した高出力の光照射装置の準備が遅れているため達成目標より遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
可視光域の高出力レーザ照射装置のデフォーカスによる照射を検討する。さらに、もう一つの課題である超分子自立膜の機能化について進めていくため、新たな官能基を前駆体ポリマーに導入するためにモノマー合成を行なっていく。
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Causes of Carryover |
すでに合成が確立されたモノマーを用いて実験していた事から、合成試薬にかかる費用がわずかに少なかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
膜の機能化に向け新たなモノマーを大量に合成する必要があり適切に使用する。
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