2017 Fiscal Year Research-status Report
らせんポリフェニルアセチレン膜の超高速光環化による超分子自立膜の創製と膜の機能化
Project/Area Number |
16K05785
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
浪越 毅 北見工業大学, 工学部, 准教授 (30452072)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 超分子自立膜 / 光環化反応 / ポリフェニルアセチレン / ビニルエーテル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は申請者が見出した実用的なスケールで超分子膜を合成できるポリフェニルアセチレン膜の光環化反応(SCAT)による超分子自立膜の調製法を発展させるものである。本研究では反応の高速化と超分子自立膜の機能化を目的とする。 超分子の機能化の目的を達成するため、ポリフェニルアセチレンの末端に重合性基であるビニルエーテル(VE)基を置換した前駆体ポリマー(AT体)やVEを後重合したAC体を得た。さらにAC体やAT体のSCATによる超分子(SC体やS体)を調製した。これらのAT、AC、SC、S体の気体選択透過能を調査した。 具体的には、以下について検討した。 AT体の後重合後のAC体はIR、NMRから定量的な反応の進行が確認された。AC体は有機溶媒に可溶であり分子内での反応が示唆され、AT、AC、SCAT後のSCの膜はいずれも柔軟な膜であった。気体透過測定を行った結果、AT体からAC体になることでPO2が25.2から4.25barrerに減少し、カチオン後重合により分子間隙が狭まることが示唆される。AC体からSC体になるとPO2が4.25から5.36barrer、PO2/PN2は3.31から4.09とともに上昇した。これはSCATにより主鎖の環化分解が起きて、分子間隙が変化した効果と考えられる。一方、AT体膜に対してSCAT反応を行った結果、IR、NMRから主鎖の環化分解とVE基の減少がみられた。得られたS体はSCATとともに膜強度が向上しており、気体透過測定の結果、SCAT 2日目(S2)にPO2が25.2 から241barrerに上昇したが、反応3日目以降(S3~)は透過係数が減少し、分離係数が上昇し、反応5日目(S5)にはPO2=12.3barrer,PO2/PN2=3.44となった。これは、SCATの進行とともにVE基が反応し緻密な膜構造を形成したためであると考察している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
VE基の重合による超分子膜の高強度化により、超分子膜の気体透過測定が可能となるなど超分子の機能化については大きく進んでいるが、SCAT速度の高速化はまだ達成されていないため目標達成より遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度本研究で新たに見出したSCAT反応と同時に起こるVEの重合についてさらに調査して、応用することで超分子自立膜の機能化につなげていくと同時にSCATの高速化反応についても検討して行く。
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Causes of Carryover |
機能化のためモノマーや前駆体ポリマー合成に試薬や器具を必要とし僅かに余ったが、おおむね予定金額に達した。 本年度余った金額は次年度の合成用試薬の購入に回して適切に使用する。
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Research Products
(2 results)