2017 Fiscal Year Research-status Report
Development of regio- and stereoselective catalyst for ring-opening polymerization of unsymmetrical glycolide with a substituent
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16K05793
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
野村 信嘉 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (70291408)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大石 理貴 東京工業大学, 物質理工学院, 助教 (20376940)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | メチルグリコリド / 乳酸 / グリコール酸 / ステレオコンプレックスス / 位置規則性 / 開環重合 / 触媒 / 立体規則性 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の研究成果で、光学活性ビナフチルバックボーンを有するサレン型触媒を用いると、光学活性(~98% ee)なL-メチルグリコリド(L-MG)の一方のエステル結合がほぼ完全に位置選択的に開裂し、規則性ポリマーが生成することを見出した。 重合反応を調べると、重合系はリビング的に重合し、分子量分布の狭いポリ(L-MG)が生成した。重合により得られたポリ(L-MG)をMALDI-TOF MASSとNMRにより分析し、開始末端構造がベンジルエステル、成長末端が2級アルコールであることが確認できた。高位置選択性(>95%)を有するポリ(L-MG)をDSC分析したところ、ファーストラン分析では融点(Tm = 86度C)が検出されたものの、セカンドラン分析ではTmは検出されなかったことから、立体および規則性の高いポリ(L-MG)の結晶化速度は小さいと考えられた。一方、位置選択性が91%のポリ(L-MG)を分析したところ、こちらもファーストラン分析でのみ融点が検出され、高選択性のポリ(L-MG)より低いTmを示し、位置選択性が融点に影響を与えることが分かった。 次に、L-MGとD-メチルグリコリド(D-MG)それぞれの位置選択性の発現に適した光学活性触媒を用い、重合した。得られたポリマーのそれぞれの分子量分布は狭く、同程度の分子量でポリ(L-MG)とポリ(D-MG)を得た(共に位置選択性>95%)。それぞれのポリマー溶液をポリマー重量比1:1で混合した後、溶媒を留去して得られたパウダー状の固体をDSCで分析した。その結果、ファーストラン分析およびセカンドラン分析共に融点が検出され、光学活性ポリマーとは異なる高い融点を示したこ。これらの結果から、ポリ(L-MG)とポリ(D-MG)を混合することにより、ステレオコンプレックスポリ(D,L-MG)が形成されることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
用いたサレン型アルミニウム触媒系では、期待したとおり選択的に2級のアルコキシド成長末端となったことから、末端アルコキシドの不斉環境により次のモノマーの立体配置を識別して重合が進行する「成長末端鎖機構」による立体制御の可能性を示した。 用いた触媒配位子に不斉環境がない場合、触媒置換基を嵩高くしても位置選択性が不十分だったが(~90%)、光学活性バックボーンの導入により高位置選択性が達成できた。重合反応はリビング的に進行することも確認した。 合成した高い位置選択性を有するL-ポリマーとD-ポリマーの混合物の熱分析により、混合物がステレオコンプレックスを形成することを見出し、ラセミモノマーからの位置および立体規則的重合反応を検討する基盤を固めることができた。 以上のことから、研究が概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
同程度の分子量のL-ポリマーとD-ポリマーの混合比を変えたり、分子量が異なるL-ポリマーとD-ポリマーの混合などにより、ステレオコンプレックス型ポリ(D,L-MG)の形成および熱的性質を分析し、材料としての性質を調べる。 ラセミ乳酸を用いてラセミMGを合成し、これまでの成果を踏まえて位置および立体選択的開環重合を検討する。
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Causes of Carryover |
残額は3千円程度で、ほぼ計画した通り予算を執行した。
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Research Products
(4 results)