2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of Asymmetric Reactions Based on the Chirality Transfer from Chiral Solvents to Helical Polymers
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16K05796
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
長田 裕也 京都大学, 工学研究科, 助教 (60512762)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | キラル溶媒 / らせん高分子 / 不斉触媒 / 不斉転写 |
Outline of Annual Research Achievements |
キラル化合物を溶媒として用いることで光学活性な生成物を得ようとする試みはこれまでに数多く行われてきたが、高いエナンチオ選択性を発現した例は限られている。本研究では、キラル溶媒からアキラル高分子触媒への高効率不斉転写に基づいた不斉触媒反応系の構築を目指した。前年度までの研究において、キラル溶媒のみを不斉源として用い、らせん高分子触媒への不斉転写を通じて高いエナンチオ選択性を発現させることに成功している。本年度の研究では、キラル溶媒から高分子触媒への不斉転写を行い、その後キラル溶媒を完全に除去してからアキラル溶媒中で触媒反応を行うことで、キラル情報の記憶に基づく不斉触媒系の検討を行なった。アキラル高分子触媒をキラル溶媒に溶解させ、常温で24時間平衡化したのち溶媒を完全に留去した。不斉情報が転写された高分子触媒を用いて、高分子触媒が溶解しない溶媒である1-プロパノール中で反応を行なったところ、88% ee で目的とする光学活性化合物を得ることができた。一方で、高分子触媒が溶解するテトラヒドロフランを溶媒として用いた場合には、生成物の鏡像体過剰率は 45% に留まったことから、不斉情報の記憶においては、高分子触媒のアキラル溶媒への溶解性の制御が極めて重要であることが分かった。さらにキラル化合物の使用量の低減を目指し、不斉源として入手容易な光学活性アミノ酸誘導体に着目し研究を進めた。アキラル溶媒中に溶解させたアキラル高分子に対して種々の光学活性アミノ酸誘導体を添加したところ、プロリン誘導体を用いることとで完全一方向巻きらせん構造を誘起可能であることを見出した。
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Research Products
(47 results)